インフレにあえぐ米国市民 食パン半斤4ドル、ミネラルウオーター1ダース6ドル(編集部)
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「十分な所得を得られていない若者や中間層以下の人たちの生活が追い詰められている」。ニュージャージー在住の作家、冷泉彰彦氏はこう指摘する。「これまで28ドル出せば、(店で)一番いいステーキを食べることができた」が、今や同じ店でメイン(主菜)メニューが50ドルからに値上がりしたという。チップの相場もコロナ禍前の18%から20%まで上がっている。
たとえ外食を諦めたとしても、1ダース=3ドル程度で買えていたミネラルウオーターが倍の約6ドルとなるなど、食料品全般の価格が高騰している。より安いものを求める購買行動か、東海岸ではドイツ発の低価格スーパー「ALDI(アルディ)」の店舗数が増加傾向にあるという。
不動産でも低所得層が割を食っている。米国では、リーマン・ショックのようなことがない限り、不動産価値が上がり続ける上に、住宅ローン金利の控除を受けることができるため、多くの人が持ち家を買う。しかし、リモートワークの定着で住宅需要が高まっていたところにインフレが直撃したことで、住宅価格が高騰。夫婦共働きの高所得層でない限り(持ち家の)購入は難しくなったという。
日本人にも人気の旅行先である西部のカリフォルニア州。この地でも、インフレの影響が人々の生活を直撃している。ロサンゼルス在住のジャーナリスト、土方細秩子氏は、「周囲では外食を控える動きが広がっている。例えば、毎日カフェに行っていた人が、今は週に1回程度に抑えているというような話は結構聞く」と、現地の事情をこう話す。
家賃急騰で学生に打撃
食料品の値上がりも深刻だ。去年までは2ドル台で買えた食パンの半斤が、今では2倍の4ドル程度になったと…
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週刊エコノミスト
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