国際・政治 政治 安倍首相銃撃事件
旧統一教会と政治家の関係に見る「政教分離と主権」の本質 影浦亮平
有料記事
安倍晋三元首相の銃撃事件の結果として、日本の政治家の多くが「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」とのつながりがあることが明らかになった。この韓国系の宗教団体の主張が、日本の政治家たちを通じて日本の政策決定に影響を与えていたとすれば、日本の主権の危機である。この団体がどこまでの政治的影響力を持っていたかについては今後もメディアが追及していくだろう。そして、日本人の大多数が今、政教分離の重要さを再認識していることだろう。
政教分離が主権の前提
実は、主権という概念がどのように誕生したかということを思い起こせば、その重要さは極めて自明である。主権の概念と政教分離の原則は同時に登場した。主権成立の前提として政教分離が必要であるという認識が、主権概念の成立当時からあったのだ。
逆に言うと、政教分離の原則が機能しないと、国家の主権は侵害される。政治は宗教から守られる必要があるが、それはなぜかと言えば、宗教は性質上、インターナショナル(国際的)であるからだ。宗教組織の意思が政治に反映させられるということは、つまり他国に自国の意思決定に介入されることと同義である。
中世の終わりに主権概念が成立
主権概念の成立の文脈は、ヨーロッパ中世にさかのぼる。例えば、「神聖ローマ帝国」は名前に反してイタリアのローマ…
残り1316文字(全文1866文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める