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露-独間ノルド・ストリームでガス漏れ LNG価格高騰の恐れ(編集部)
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ロシア─ドイツ間の天然ガスパイプライン「ノルド・ストリーム」が損傷したことで、冬に向けて欧州および世界の天然ガスの需給逼迫(ひっぱく)、価格高騰が懸念されている。
ノルド・ストリームは、ロシアの大都市サンクトペテルブルクに近いフィンランド湾ビボルクおよびウスチ・ルーガから、バルト海を通って、ドイツ北部のルブミンに至る海底ガスパイプラインで、「1」と「2」で構成され、それぞれ2本のパイプラインが敷設されている。報道によると、9月26日にデンマークのボーンホルム島近くのパイプライン付近で、爆発音が観測され、海面にガスの漏出が確認されたという。4本のパイプラインのうち3本が損傷した模様だ。損傷の原因について、現時点では、パイプライン運営会社からの公式な発表はないが、破壊工作ではないかと報じられている。
供給が追いつかない
ノルド・ストリームの天然ガスの供給容量は、1と2で年間550億立方メートルずつで、計1100億立方メートルとされる。1は機器の故障などを理由にロシアが頻繁に供給量の削減を繰り返しており、現時点で1からドイツにどの程度の量が輸出されているか、正確な数字の把握は難しい。2はそもそもドイツが事業開始を承認していないので、天然ガスは供給されていない。
BP統計によると、2021年のロシアからEUへのパイプラインによる天然ガス輸出量は、1323億立方メートル。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の荻野零児シニアアナリストは、「これが全部止まれば、EUは不足分を他から調達しなければならず、欧州のパイプライン天然ガス価格の上昇要因となる。さらに液化天然ガス(LNG)のスポット調達も増加させるだろう」と語る。
その上で「BP統計によると、仮に不足分を全てLNGで補おうとすると、世界…
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週刊エコノミスト
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