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JFEが脱炭素シフト、倉敷第2高炉を電炉に 元田宏
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JFEホールディングスの子会社で鉄鋼2位のJFEスチールは早ければ2027年にも西日本製鉄所倉敷地区で大型電気炉(電炉)を導入すると発表した。鉄鋼大手を象徴する主要設備は「高炉」だが、JFEは稼働中の倉敷第2高炉の代替として石炭(原料炭)を使わない電炉の採用を決断した。世界でカーボンニュートラル(炭素中立)の流れが強まり、鉄鋼業界を長く支配してきた高炉を中心とした生産体制を揺るがす動きが日本で始まった。
高炉の弱点を克服
高炉と電炉では、製鉄法が全く異なる。鉄鉱石を原料炭で還元し、高純度な銑鉄から自動車用に代表される高級鋼材を一貫生産できる高炉に対し、電炉では建設現場や工場の端材として発生した鉄スクラップを回収し、これを溶かして鋼材にする。
スクラップは発生量が不安定なため大量に買い付けるのが難しい。さらに多くの不純物が含まれているため成分を調整する高級鋼材には不向きとされ、電炉のこの「弱点」は今も変わっていない。
それでもJFEが「電炉シフト」を打ち出したのは、カーボンニュートラル対策が二酸化炭素(CO₂)排出量の多い鉄鋼業界で欠かせなくなっているためだ。
しかし単に高炉を電炉へ置き換えるだけでは、JFEが得意とする自動車をはじめとした製造業向けの高級鋼材に対応できない。そこでJFEは、鉄スクラップだけでなく直接還元鉄(DRI)と呼ばれる原料を活用する。
DRIは高炉と同様、採掘量が読める鉄鉱石を原料とし、純度も高い。さらに石炭を還元剤とする高炉と違い、天然ガスや将来は水素を使える可能性がある。JFEは倉敷での電炉稼働に先立ち、このDRIを作るプラントを伊藤忠商事、アラブ首長国連邦(UAE)のエミレーツ・スチールと組み、25年の稼働予定で事業化調査を行う。
しかしDRIにも…
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週刊エコノミスト
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