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ノーベル経済学賞はバーナンキ氏ら3人に(編集部)
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「世界恐慌の研究が実践で結実した。経済学者でありながら金融政策担当者になる機会に恵まれた。歴史に呼ばれた人だ」(元日銀審議委員でエコノミストの片岡剛士氏)
スウェーデン王立科学アカデミーは10月10日、2022年のノーベル経済学賞を元米連邦準備制度理事会(FRB)議長のベン・バーナンキ氏(68)ら3人に授与すると発表した。金融危機における銀行の役割、銀行破綻が経済に与える影響を定式化したのが授賞理由。共同受賞したのは米シカゴ大学のダグラス・ダイヤモンド教授、米セントルイス・ワシントン大学のフィリップ・ディビッグ教授。
経済学者のバーナンキ氏は、08年のリーマン・ショックという世界的な金融危機時にFRB議長(06~14年)として大手金融機関に公的資金を注入。銀行の信用回復を重視する自身の理論を実践し、危機の広がりを食い止めたとされる。
主要国の中銀のトップを務めた人物が受賞するのは異例だが、中銀のトップ(総裁)に経済学者が就任するのは世界では珍しくない。
バーナンキ氏の研究業績では、1930年代の世界恐慌の分析が有名で、中銀による資金供給の不足に加え、銀行の取り付け騒ぎが恐慌を深刻化した点を統計で分析し、金融を介した負のサイクルを理論化した。
片岡氏は「経済学は実際的な学問であり、有用性があることを改めて証明した」と評価する。現在世界の主な中銀は、インフレ対応が遅れて急な利上げに追い込まれている。日本は利上げせず金融緩和策を続けざるをえない状況にある。バーナンキ氏が授賞式などでこうした状況にどう言及するかも注目だ。
(編集部)…
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週刊エコノミスト
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