賃上げで従業員に報いる企業は? 大川智宏
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足元の急激な円安やインフレは無数の好・悪影響を及ぼすが、特に企業活動については、物価の高騰に即した名目上の賃金の上昇圧力を強めるだろう。しかし、経済が不透明感を増す今、賃上げの実施が可能な企業とそうでない企業で、賃金の格差は拡大していくのは必至だ。
結果として、今後はインフレが進行するほど、人材の流動化が起こりやすくなるだろう。同じ業界ならば、賃金が低い企業よりも高い企業へと優秀な人材が流れ、人材を軸にした企業の競争力にも格差が発生しそうだ。
ちなみに、設備投資・人材投資ETF(上場投資信託、賃上げETF)という商品を覚えているだろうか。日銀主導で組成された、設備投資や人材投資に積極的な銘柄を組み入れ対象とするETFである。実はこの賃金ETFの最近のパフォーマンスが好調だ。背景としては、賃上げへの積極さは財務や業績の良好さを示す代理変数となりうることや、賃上げによる優秀な人材の採用が長期的に業績へと結びついた側面もあるだろう。
そこで、テーマとして賃金に焦点を絞り、「賃上げ積極性」の高い企業を定量的に選定したい。具体的な方法は、以下の通りだ。
①母集団は東証株価指数(TOPIX)構成銘柄(2168銘柄)のうち、前回好況開始の2013年から22年までの売上高と給与福利厚生費(ともに実績値)が取得可能な銘柄。
②各年について、給与福利厚生費を売上高で除し、「給…
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週刊エコノミスト
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