経済・企業

《米国株》右肩上がりの企業は投資の好機 大島和隆

メタ・プラットフォームズのザッカーバーグCEO(Bloomberg)
メタ・プラットフォームズのザッカーバーグCEO(Bloomberg)

 インフレといっても歴史的に見ればまだその水準は低い。物価や金利の上昇が進む中でも、収益が増える企業や業種はある。>>特集「インフレ時代の投資術」はこちら

AI関連、メタバース、軍需

 米国の消費者物価指数(CPI)は9月、前年同月比8.2%上昇した。連邦準備制度理事会(FRB)はインフレを抑え込もうとして、年内にあと2回、政策金利のフェデラルファンド(FF)レートを0.75%ずつ引き上げる見通しだ。誘導目標は年末までに4.5%に達すると見られている。それに呼応して10年物米国債の利回りも上がり、10月までに4%になっている。そんなニュースを聞いて、「インフレが大変だ」と騒ぎたくなる人もいるかもしれない。

 しかし、歴史を振り返れば、米国の10年物国債の利回りが4%というのは、それほど高い水準とはいえない。第2次石油危機後の1980年代初頭、10年物米国債の利回りが15%を超えた時期もあった。それほどインフレが進めば、多くの企業は業績が悪化すると考えられ、株式投資は合理的な選択肢ではなくなるかもしれない。

 だが、今のインフレ率はそこまで高くなく、むしろ米国株に投資する好機といえるだろう。右肩上がりのビジネストレンドに入った米企業があるからだ。株価は基本的には「企業の解散価値+将来収益」で決まる。右肩上がりのビジネストレンドに入っている中、収益が増える企業に着目したい。

データ解析に注力

表の拡大はこちら

 その代表格は人工知能(AI)関連株だ。AIに不可欠な最先端半導体の製造装置で世界最大手のアプライド・マテリアルズ、サーバーCPU(中央演算処理装置)市場でインテルの牙城を崩したアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)などを表に挙げた。

 AIを活用することで業績が上向く銘柄もある。米小売り最大手ウォルマートはAIを活用してビッグデータを解析し、富裕層の客を取り込むことに成功した。インフレを受けて、食品や消耗品を買い控える客が増えて業績が悪化すると見られていたが、今まで手薄だった富裕層の購入が増えたことで売上高が増え、通期の利益予想を上方修正した。

 AIを活用したビッグデータの解…

残り1426文字(全文2326文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月2日号

バブル超え 日本の実力24 実体経済と乖離する株高にたまるマグマ■編集部26 株価4万円 私はこう見る マネー資本主義が作った壮大なバブル■澤上篤人27 株価4万円 私はこう見る 割高感なく急速な調整はない■新原謙介28 株価4万円を考える 日本“企業”と日本“経済”は違う■山口範大30 日独逆転  [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事