経済・企業 インフレ時代の投資術
《日本株》銘柄選びのポイントは海外売上高比率と独自性 山本伸
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円安が続きインフレは簡単には終息しそうもない。価格転嫁できるか、製品やサービスに独自の強みがあるかがポイントだ。>>特集「インフレ時代の投資術」はこちら
狙い目は資源リサイクル、半導体、医薬、インバウンド
円安が進む一方だ。日米の金利差や日本の国力低下を背景に円安は今後も続くと考えられる。輸入物価は上昇し続け、インフレはなかなか終息しないだろう。株式のようなインフレに連動して値上がりする資産に投資することを考えたい。
ポイントは海外売上高比率が高く、製品・サービスの内容に独自性があり、価格支配力が高い銘柄を選ぶことだ。例えば、資源価格が値上がりする中、争奪戦が起きている鉄やアルミニウムのスクラップを輸出する国内企業には追い風が吹き、代替しにくい製品・サービスがある企業は、海外事業の円換算利益が膨れ上がっている。業績を上方修正することになり、株価が上がりやすい。
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まずは資源関連だ。西側諸国がロシアに経済制裁を発動した結果、ロシア産の供給が滞る懸念が高まり、急騰した産品は石油や天然ガスだけでなく、鉄鋼石、アルミ、銅、亜鉛、ニッケルなど幅広い。とりわけ太陽光・風力発電の関連設備や電気自動車(EV)を生産するために不可欠なアルミ、銅、ニッケルの価格に影響が大きかった。金属製品の原材料となる鉄やアルミなどのスクラップも品薄だ。
株式市場には資源高は「持続不可能」という見方があり、関連企業の株価は必ずしも高値を維持していない。しかし、資源権益やスクラップの供給ルートを持つ国内企業は円安で輸出競争力が高まって業績が好転しており、狙い目だ。
アルミや銅のリサイクル事業が強く、スクラップを輸出する阪和興業は4〜6月期純利益が前年同期の2.5倍と絶好調だが、2023年3月期純利益(会社予想)を基にした株価収益率(PER)は3倍台と割安だ。大紀アルミニウム工業所はアルミのスクラッ…
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週刊エコノミスト
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