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マーケット・金融 FOCUS

米国の利上げは不十分? なお続く人手不足と賃金高騰 小野亮

利上げの早期停止論を打ち消したパウエル議長 Bloomberg
利上げの早期停止論を打ち消したパウエル議長 Bloomberg

 引き締めのピークは一段と高く、その時期は遠のいている──。11月2日、米連邦準備制度理事会(FRB)が開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の会合後、パウエル議長の発言は「利上げペースの減速」に期待を強めていた米金融市場に冷や水を浴びせた。

 FOMCは連続4回目となる0.75%の大幅利上げを決めつつ、声明文で「今後の利上げペースは、これまでの累積的引き締めの効果と、効果が発現するまでのラグ(時間差)を考慮する」との方針を示した。

 この方針を受け、金融市場では「12月会合で利上げペースは減速する」という観測が強まり、米ダウ工業株30種平均は声明文の発表後に300ドル近く上昇していた。

 しかし、11月会合後の記者会見が始まると間もなく、楽観論は消えた。パウエル議長が「政策金利の最終的なピークは、従来(9月)の想定よりも高くなる」と述べたからだ。

 パウエル議長は米金融政策のポイントを「どれだけ利上げを急ぐか」「どこまで金利を上げるか」「いつまでその金利水準を維持するか」の三つの問いを挙げて説明した。

 第一の問いに対する回答として、パウエル議長は「早ければ次(12月)かその次の会合で」減速するかもしれないと述べた。

高止まりの恐れ

 しかし今後の金融政策に関し、第二、第三の問いのほうがはるかに重要だと強調した。特に第二の問いの答えとして、インフレ情勢の悪化が続く中で利上げの到達点が一段と高まっているという。記者会見の最後には「利上げ停止を考えることや議論することは極めて時期尚早」とすら言い放った。

 パウエル議長は改善の見えない物価情勢にいらだちを強めているのかもしれない。

 世界の供給網の…

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週刊エコノミスト

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