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経済・企業 狭まる包囲網 税務調査

相続・贈与税を見直し、生前贈与の脱“駆け込み”を目指す 宮口貴志

 年間110万円までの贈与が非課税なのはよく知られているが、死亡前の駆け込み贈与はいっそう難しくなりそうだ。>>特集「狭まる包囲網 税務調査」はこちら

格差の固定・拡大を生まない工夫必要

 政府税制調査会(政府税調)は11月8日の総会で、生前贈与を円滑に行うための相続・贈与税の見直しを議論した。年間110万円まで非課税となる暦年課税制度については、3年の「持ち戻し」期間を見直すことで意見が一致。専門家会議の議論を踏まえ、おおむね5〜10年という方向性が示された。与党税調では、同意見をベースに2022年末にもまとめる来年度税制改正大綱の作成に動く。

 暦年課税は現在、毎年110万円までの贈与を非課税として、それを超える贈与に累進課税を適用している。ただ、死亡前3年以内の贈与は相続財産に加算して、相続税が課税される。これを3年の持ち戻しという。死期が近づいてからの駆け込み贈与が多いため、持ち戻し期間が設定されている。

 持ち戻しを3年にしたのは1958年度改正時。被相続人の一生分の贈与財産すべてを持ち戻しにしたかったが、「現実の問題として一生の贈与財産を累積することは税務執行上極めて困難」との理由から3年とした経緯がある。

 しかし、近年は、税務行政のデジタル化対応が進み、財産情報の把握が以前より容易となった。政府税調としては、欧米諸国を参考に加算期間を延ばすことが適当と考え、金融機関のデータ保持期間が10年であることや、税務調査の現状などを踏まえ5〜10年と考えたようだ。

教育資金特例などは廃止へ

 また、政府税調は、要件を満たせば2500万円までが贈与税が非課税になる「相続時精算課税」制度について、使い勝手を向上させ、利用拡大を目指すとした。

 同制度は、まとまったお金を早めに子に贈与税なしで渡せるメリットがあるものの、贈与者の死亡後には、贈与した財産を組み入れて相続税が計算される。暦年贈…

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週刊エコノミスト

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