“コロナ融資”効果消え、春から倒産急増か 内藤修
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2023年の企業倒産は業種別では建設、食品、運輸、サービスが要注意だ。
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「取引先に対する与信判断を一段厳しくする時かもしれない」──。上場化学品メーカーのベテラン審査マンは、2023年に向けて気を引き締めている。足元の企業倒産は増加トレンドが強まっている。22年10月の倒産件数は594件で、6カ月連続で前年同月を上回っている。
実質的に無利子・無担保の「コロナ融資」の効果は一巡しつつあり、コロナ禍前半の歴史的な融資水準は過去のものになりつつある。円安、物価高、人手不足の「三重苦」が最後の追い打ちとなり、22年の倒産件数は6200〜6300件に達する見通しだ。コロナ禍前に比べて依然低水準ではあるが、22年は19年以来3年ぶりに企業倒産は増加に転じる。
「返済できない」が1割
23年も中小企業を中心に倒産の増加が続きそうだ。22年の企業倒産で最大の負債額となった自動車部品大手「マレリホールディングス」(負債額1兆1856億円)のような超大型倒産の発生は考えにくいが、政府で間もなく本格的な議論が始まる「私的整理の多数決制導入」の動向もあり、この制度が実現すれば、法的整理(倒産)を回避する動きが強まる可能性がある。
23年はコロナ融資の返済が来春ごろから本格化するため、返済負担が重荷となった「コロナ融資後倒産」が全体の倒産件数を押し上げるものと見られ…
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週刊エコノミスト
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