経済・企業

防衛関連業種「ウサデン」に注目せよ 天海源一郎

 2023年は防衛費の大幅増額を受け、防衛関連株の本格的な値上がりが期待できそうだ。

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 ロシア軍がウクライナを包囲するように国境近くに集結した2021年秋、三菱重工業の株価は「動意」していた。じわじわと値上がりし始めたという意味の相場用語だ。時価総額が1兆円を超え、本来は値動きが重い銘柄だが、年明けとともに株価は3000円前後からはね上がった。22年2月24日の開戦を経て、6月9日には5672円にまで急上昇。東京株式市場は米国の利上げを受けて安値でもみ合っていた時期だけに同社株の急騰は特筆すべきことで、近年見られなかった動きだ。川崎重工業やIHIの株価もやはり上昇した。

 背景にあるのは政府が防衛費を大幅に増額するという思惑だ。ウクライナ侵攻が始まってまもない4月、報道各社は「自民党は防衛費を国内総生産比2%以上へ引き上げることで一致した」と報じた。実現すれば増額分は年5兆円にもなる。規模が大きいことから、株式市場では「どの企業が恩恵を受けるのか」と関心が高まったのだ。

 三菱重工は自衛隊の艦船や航空機など多様な装備品を製造する。防衛省が19年にまとめた資料によると、防衛関連企業の連結売上高に占める自衛隊装備品など「中央調達」の契約金額(いずれも17年度)の比率は、同社6.0%、川崎重工11.0%だった。

23年から新次元に

 その後、国内世論は防衛費の大幅増額を容認するコンセンサスを醸成し、岸田政権は具体化を急ぐ。防衛関連株の値動きは23年、ウクライナ戦争にともなう危機感の高まりを背景とするものから次元を変える。政府が実際に予算を計上・執行する…

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週刊エコノミスト

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