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半導体関連の出荷・在庫バランスに明るい兆し=藤代宏一

 日本の10月の鉱工業生産は前月比マイナス2.6%と2カ月連続の減産であった。生産は、大きく見れば自動車生産の回復によって水準を切り上げているが、電子部品・デバイス工業の減産がきつく、全体として緩慢な回復にとどまっている。

 電子部品・デバイス工業の生産に目を向けると、10月は前月比マイナス4.1%と2カ月連続で減産となり、前年比ではマイナス7.9%の減少となった。

 また生産計画(製造工業生産予測調査)によれば、11月はマイナス0.5%、12月はマイナス1.5%と2カ月連続の減産見込みとなっている。

 ここから判断すると、生産水準は更に低下し、2019年平均(95.2)まで押し戻される可能性が高い。

 本邦企業が国際競争力を有する電子部品産業は、構造的な需要増加に直面しているとはいえ、22年入り後は世界的なシリコンサイクル(半導体市況が2年程度のサイクルで好不況を繰り返す)の悪化に巻き込まれ、その勢いを失っている。

 もっとも、明るい点として、在庫の積み上がりに一服感がみられている。10月の在庫水準は前年比プラス7.9%と相変わらずプラス圏にあるとはいえ、5月のプラス47.0%から明確に縮小している。

 この間、出荷と在庫の前年比から算出した出荷・在庫バランスは、マイナス10.5%とマイナス幅を縮小し、プラス圏への回帰が視野に入りつつある。出荷・在庫バランスのプラス圏推移は出荷の伸びが在庫の…

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週刊エコノミスト

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