コロナ禍の地方移住は終わり、一極集中が復活した首都圏で空室率も着工戸数も改善 福崎剛
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2022年夏を境に首都圏は転入超過に転じ、住宅市場も上向き始めた。この傾向は23年に一段と強まる。
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結論から言えば、首都圏では2023年、賃貸物件の空室率が改善し、新築住宅の着工戸数が増えるなど、住宅市場は活性化するだろう。
根拠の一つは人口動態のデータだ。総務省統計局「住民基本台帳人口移動報告」(22年9月現在)によると、転入・転出者数は同年夏以降、3大都市圏のうち首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)だけが転入超過に転じた。
つまり、新型コロナウイルスの感染が広まってから「東京一極集中が終わり、地方移住の傾向が強まる」という現象が見られたが、その傾向は22年夏までに終わった可能性がある。
政府が3月、全国18都道府県に適用していた「まん延防止等重点措置」を解除したことで、飲食店は休業や時短営業を取りやめ、大学は対面授業に切り替えるところが増えた。首都圏の人口が転入超過に転じたことと関係しているのではないか。
賃貸住宅のデータを見れば、首都圏の回復は明らかだ。不動産情報サービスのタス(東京都中央区)が発表する「タス空室インデックス」は、入居者を募集している物件の空室率を示す指標。首都圏では新型コロナの感染拡大とともに上昇してきたが、22年に入って下落に転じた。21年12月から22年8月にかけて、東京都は11.53ポイントから10.71ポイント、23区は11.14ポイントから10.44ポイントにそれぞれ下がった。転勤者や学生の首都圏への転居状況は正常化しつつあることがうかがえる。
着工戸数は5%増
東京都では新築分譲住宅の着工戸数も…
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週刊エコノミスト
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