いまや中国がトップランナーのグリーン銘柄 何紅雲
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世界的な脱化石燃料のトレンドは、再生可能エネルギー産業を政策として進めてきた中国には追い風だ。
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2022年12月7日、中国政府が新型コロナウイルス感染を抑え込もうとする「ゼロコロナ」政策の大幅緩和を決めたことで、中国経済は正常化に向かうという見方もあるが、中長期的に有望なのは、世界に先駆けて中国が力を入れてきた太陽光発電や風力など再生可能エネルギーや、電気自動車(EV)と車載用電池などの企業群だ。
追い風は世界の再エネ化
中国がゼロコロナ政策の緩和を発表する1日前の12月6日、国際エネルギー機関(IEA)が「25年に再エネが、石炭を抜いて世界最大の電源になる」との予測を発表した。
IEAは新たに設置される再エネの容量が27年までに世界で2400ギガワットと予想した。これは過去20年に整備されてきた世界の量に匹敵する。中国はこの恩恵を受けるだろう。
IEA(22年12月発表)によると、27年の再エネ導入量の予測は、世界的な脱炭素の流れで21年の各国の予測から大幅に上方修正されており、中国は36.3%増に増加。これは欧州の35%増、世界全体の28.4%増、米国の26%増を大きく上回っている。
参入企業の増加と研究開発などで国の支援もあり、製造能力、技術水準は大幅に向上。太陽電池の変換効率でも22年11月に世界最高の26.81%を達成している。
一方、中国政府は10年以上の長期にわたり続けてきた再エネ産業への補助金に対して、21年には陸上風力発電の補助金を廃止し、22年より太陽光発電の新規取り付け分に対する補助金を廃止した。
それでもこの間に培った価格競争力と技術力は世界への輸出拡大を後押しし、22年1~10月における中国の太陽光パネルの輸出量は前年同期比24%増の約33億枚、輸出額は400億ドル(5.4兆円)となった。
IEAの22年7月の報告によれば「太陽光パネルの主要製造段階での中国のシェアは8割を超えた」という。IEAは「地域的な偏り」に懸念を示すものの、「中国は太陽光発電のコスト引き下げに貢献した」と評した。
中国最大の太陽電池メーカー、隆基緑能(ロンジ・グリーン・エネルギー)は原料のシリコンから太陽電池セル、モジュールを一貫生産し、屋根に設置する小規模設備から、高圧の大規模太陽光発電まで対応し、12年の上場以来、増収増益…
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週刊エコノミスト
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