インド版デジタル通貨は、2023年3月までにスタート 潮田玲子
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インド政府は2023年3月までに中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタルルピー」の発行を表明している。すでにパイロットテストを開始した。
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インドの中央銀行であるインド準備銀行(中銀)は自国発行の中央銀行デジタル通貨(CBDC)「デジタルルピー」に関する開発を進めてきた。2022年11月には銀行間の大口決済用の「ホールセール型」、同年12月からは個人や事業者間の小口決済用の「リテール型」について、それぞれパイロットテストを開始した。
インド政府は23年3月までにCBDCを発行することを表明しており、すでに法的枠組みの一環として、ルピー紙幣に加えてデジタルルピーについても「法定通貨」とみなす旨、インド準備銀行法を改正済みである。
ホールセール型デジタルルピーには取引の効率化によるコスト削減が期待されるが、実験ではまず国債のセカンダリー・マーケット(流通市場)での決済で利用される(商業銀行9行が参加)。将来的には、他のホールセール取引や国境を越えて実施されるクロスボーダー決済にも利用を拡大していく。
リテール型については、限定された個人や事業者で構成されるグループ内において、個人間または個人・事業者間の決済に利用される(商業銀行4行が参加)。デジタルルピー及びそれを管理・送金するためのeウォレットは実験に参加する銀行より配布される。
デジタルルピー発行の目的は、①現金取り扱いコスト(印刷・輸送・保管)の削減、②暗号資産(仮想通貨)に代わる決済手段の提供、の2点が大きい。①に関し、インドではデジタル決済の普及が進む一方で少額取引を中心に現金需要が…
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週刊エコノミスト
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