インドを追う国々《インドネシア》内需拡大と資源輸出に底堅さ 片白恵理子
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底堅い成長を続けるインドネシア経済だが、景気回復ペースは鈍化しつつある。
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2023年のインドネシア経済は、世界的な景気減速を受けて、やや鈍化するものの、新型コロナウイルス禍前の平均経済成長率である5%前後を維持し堅調に推移するとみられる。
昨年の同国経済は底堅かった。資源価格高騰の恩恵を受けて輸出が大幅に拡大し、国内ではコロナ感染拡大に対する抑制策が緩和され、外出が自由にできるようになり、購買意欲が高まったためだ。
22年の第3四半期の経済成長率は前年同期比5.7%と、伸びは第2四半期の同5.5%を上回り、4四半期連続で同5.0%を超えた。コロナ感染拡大に対する抑制策が強化されていた前年同期(同3.5%)のベース効果もあったが、入国制限を含む規制緩和などにより内需が拡大したこと、資源輸出が好調だったことなどが成長を後押しした。海外からの資金流入をみると、輸出の拡大により貿易黒字が続いたことに加え、入国制限の緩和により海外直接投資(FDI)が急増した。第3四半期のFDI実現額は前年同期比で63.6%増の169兆ルピア(109億ドル)と、四半期ベースの伸び率、金額ともに過去最高を更新した。
しかし、第4四半期以降の経済は鈍化の兆しが見え始めている。世界経済の減速、インフレ、利上げなどの影響を受けているためだ。10月の小売売上高は13カ月連続のプラス成長となったが、前年同月比3.7%増と、9月の同4.6%増から伸びが縮小した。11月の輸出額は前年同月比5.6%増の241億ドルと、10月までは20カ月連続で2桁台の伸びであったものの大幅に縮小している。
米利上げでルピア売り
22年に注視せざるを得なかったのはインフレだ。ロシアによるウクライナ侵攻で、特に燃料と食料品の価格が世界各国で高騰。インドネシアでも同様だった。11月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比5.4%上昇と、10月の同5.7%上昇をやや下回り、2カ月連続で鈍化したものの、中央銀行のインフレ目標である2~4%の上限を6カ月連続で超えている。政府が9月初旬に補助金の減額によりガソ…
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週刊エコノミスト
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