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中国楽観論に水差すマイナス指標のオンパレード 藻谷俊介

 中国経済を巡っては、このところ悲観論が随分と薄まってきたと感じる。

 筆者は昨年9月6日号の当コラムで、中国経済が年初の上海ロックダウンから十分に戻ったことをデータで示すなど、報道される逸話的な悲観論を排してきた。だが今度は、楽観がいわゆる「ゼロコロナ」政策の撤廃のみで説明されていることに違和感を感じる。中国経済を取り巻く環境は昨年の秋以降再び厳しくなっており、回復の条件はそろっていない。

 確かに発表されたばかりの10〜12月期成長率は、季節調整済み前期比横ばいで済んだため、表面上はあまり悪く見えなかった。ただGDPなどの上位統計が、根拠となる月次の下位統計と矛盾していないかを常に検証するのが、本来のエコノミストの役割である。

 図1は中国の小売販売額統計に当社で中国カレンダー対応の季節調整をかけたものだ。この統計は、コロナ前までは国策統計色が強く不自然なほど安定的に伸びていたが、以後はリアリティーのある変化を示すようになった。見ての通り、末端の22年12月を含む3カ月は下に振れ、ここに至って内需のコアが厳しくなっている。実際に7〜9月期対比で10〜12月期は3.9%のマイナスになっている。

 統計を得られる範囲で同様の計算をすると、貨物輸送量はマイナス3.4%、電力使用量はマイナス1.8%、セメント生産はマイナス2.5%、自動車生産はマイナス17.2%、集積回路生産はマイナス1.1%…

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週刊エコノミスト

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