きみは54年前のアニメ「空飛ぶゆうれい船」をみたか 片山杜秀
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片山杜秀の闘論席
「空飛ぶゆうれい船」。東映が1969(昭和44)年に作った長編アニメーション映画である。演出は池田宏。スタッフには、宮崎駿や、2019年のNHKの連続テレビ小説「なつぞら」で広瀬すずの演じた主人公のモデル、奥山玲子も加わっている。
世界に、謎の巨大ロボットや、正体不明の幽霊船が現れ、大都市が襲撃されたり、貨物船が次々と沈められたりもする。人類の危機だ! 平和を守れ! 日本でも戦車や戦闘機が量産される。軍需工場は大忙しだ。ところが、実は同じ工場で、謎の巨大ロボットもまた、新造され、修理されている。突然、町中で、裏では手をつないでいる謎のロボットと防衛軍が激突するので、一般市民は戦闘に巻き込まれ、次々とたおれてゆく。
ところが、そんな状況下だというのに、世の中は案外と能天気であり、コーラをイメージしているのか、ある種の炭酸飲料のブームが起きていて、大人も子どもも競って飲んでいる。その飲料のCMソングが繰り返し流れる。そんな飲み物と宣伝のせいだろうか。とにかく人々の感覚は恐ろしいまでに麻痺(まひ)している。
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週刊エコノミスト
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