教養・歴史闘論席

きみは54年前のアニメ「空飛ぶゆうれい船」をみたか 片山杜秀

撮影 中村琢磨
撮影 中村琢磨

片山杜秀の闘論席

「空飛ぶゆうれい船」。東映が1969(昭和44)年に作った長編アニメーション映画である。演出は池田宏。スタッフには、宮崎駿や、2019年のNHKの連続テレビ小説「なつぞら」で広瀬すずの演じた主人公のモデル、奥山玲子も加わっている。

 世界に、謎の巨大ロボットや、正体不明の幽霊船が現れ、大都市が襲撃されたり、貨物船が次々と沈められたりもする。人類の危機だ! 平和を守れ! 日本でも戦車や戦闘機が量産される。軍需工場は大忙しだ。ところが、実は同じ工場で、謎の巨大ロボットもまた、新造され、修理されている。突然、町中で、裏では手をつないでいる謎のロボットと防衛軍が激突するので、一般市民は戦闘に巻き込まれ、次々とたおれてゆく。

 ところが、そんな状況下だというのに、世の中は案外と能天気であり、コーラをイメージしているのか、ある種の炭酸飲料のブームが起きていて、大人も子どもも競って飲んでいる。その飲料のCMソングが繰り返し流れる。そんな飲み物と宣伝のせいだろうか。とにかく人々の感覚は恐ろしいまでに麻痺(まひ)している。

残り334文字(全文799文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

3月19日・26日合併号

株価4万円突破! 勝つ投資16 新NISAで歴史的高値到来 時間を味方にしっかり分散■編集部19 インタビュー 代田秀雄 三菱UFJアセットマネジメント常務 アクティブ偏重に疑問 低コストにこだわり19 使わなきゃ損! 投資非課税の新NISA 無期限化と枠拡大&復活■編集部20 新NISA 日本株、 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事