金利上昇時代の投資 狙い目は高配当株ファンド 篠田尚子
有料記事
拡大はこちら
金利上昇と景気後退懸念に揺れる環境下では、これまでの低金利時代とは異なる投資も必要になる。
>>特集「日銀大検証」はこちら
2022年は年初から株価が調整基調を強め、インフレリスクと地政学リスクの台頭に加え、世界的な利上げ圧力により、年後半にかけて予想だにしないスピードで円安も進んだ。そこに昨年12月、日銀が長期金利の変動許容幅の拡大を発表し、ついに日本にも「金利がある世界」がやってきた。
一般的に、金利が上昇すると株価は下落する。このメカニズムについて簡単に解説しておくと、そもそも株価の算出根拠となる企業価値は、将来獲得できるであろうキャッシュフローを、金利(これを「割引率」と呼ぶ)で割ることで求められる。キャッシュフローと発行済み株式数に変化がない場合、金利が上昇すると企業価値は低下し、理論株価も低下するというわけだ。
近年、「インデックス型」の投資信託を中心に人気を集めてきた、米S&P500などの株価指数は、総じてグロース株(成長株)の寄与度が高い。さらに、成長期待によって株価が押し上げられていた米国の「ハイパーグロース株」には割高感も指摘されていた。低金利環境下ではこうした割高感も許容されていたのだが、金利上昇に伴って一気に売りを浴びせられ、株価指数も同様に下落に見舞われた。
銀行株は「一部」に
金利上昇と景気後退懸念に揺れる足元のような環境下において、耐性を発揮する代表的な資産が高配当株だ。相対的に高い配当を支払う高配当株は、銀行、通信、公益をはじめとする成熟産業に多くみられる。成長株のように企業の急成長による大きな株価の上昇は見込みにくい半面、安定した配当を受け取れるという安心感がある。先述したグロース株が主演級の俳優であるなら、高配当株はバイプレーヤー(脇役)といえるだろう。
高配当株は個別株を選んで投資することももちろんできるが、具体的な銘柄が思い浮かばないなら、インデックス型の投資信託で効率よく投資するのがよいだろう。ベンチマークの指数に掲げられている指数の構成銘柄を通じて、個別企業について理解を深めるというのもよい。
米国株なら、高配当株指数に連動するタイプのほか、配当貴族指数への連動を目指すファンドを選択肢に入れてもよいだろう。「配当貴族」とは、過去25年以上にわたり毎年連続で配当を増やし続けてきた銘柄を指す。この配当貴族銘柄…
残り1149文字(全文2149文字)
週刊エコノミスト
週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める