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米FRB議長がインフレ退治に自信も 賃金インフレ再燃リスクは残る 小野亮
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5月には利上げ打ち止めの可能性が出てきた。米経済は景気後退が近づき、今年終盤には利下げに転じるだろう。
「信頼に足るディスインフレのストーリーが(およそ半分は)見えてきた」──。
2月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見において、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は、慎重に物価情勢を見極めていく姿勢を強調しつつ、インフレの不確実性が消えてきたことに手応えを感じている様子もみせた。
FOMCは、市場予想通り利上げ幅を0.25%に縮小させながら政策金利の誘導レンジを4.5〜4.75%に引き上げた。声明文には「引き続き追加利上げが適切」との方針が示されたが、物価情勢については、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻がもたらすインフレへの影響などの記述が削除された。
この変化は、FOMCが予想している形でディスインフレが進んでいることを反映している。
ここ2カ月ほど、FOMCによる(コア)インフレの分析は、財、家賃、家賃を除くサービスの3分野に分けて語られてきた。このうち財ではディスインフレがすでに進行。家賃についても、新規の賃貸契約で家賃が引き下げられており、物価への波及が期待されている。
パウエル議長は消費支出の5割弱に相当するこの2分野について、冒頭に引用した言葉で楽観論を示した。インフレの不確実性がほぼ半減したということだ。
今後の焦点は、残る5割強を占める「家…
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週刊エコノミスト
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