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国際・政治 ウクライナ侵攻1年

習主席は台湾の“和平統一”のために停戦調停へ乗り出すか 遠藤誉

一刻も早い停戦を望むも、訪露については台湾総統選への最大の効果も狙いたい(中国の習近平国家主席〈左〉とロシアのプーチン大統領、2019年6月) Bloomberg
一刻も早い停戦を望むも、訪露については台湾総統選への最大の効果も狙いたい(中国の習近平国家主席〈左〉とロシアのプーチン大統領、2019年6月) Bloomberg

 停戦に向けたロシアへの働きかけは、2024年の台湾総統選への最大限の効果を狙うタイミングになろう。

>>特集「ウクライナ侵攻1年」はこちら

 ロシアによるウクライナ侵攻が始まった翌日の昨年2月25日、中国の習近平国家主席はロシアのプーチン大統領に電話して「話し合いにより問題を解決すべきだ」と訴え、プーチンも「私もそう思う」と応じた。その日の午後、プーチンは一時、部隊の動きを止める命令を出し停戦交渉に向かう兆しがあった。だが、米国は同日、ウクライナに対して「だまされてはいけない」という警告を発した。結果、トルコで停戦交渉が始まったものの、戦況は悪化し続けている。

 習近平とプーチンは長いこと蜜月関係にあったが、習近平としてはプーチンのウクライナ侵攻には反対だ。なぜなら侵攻の理由がウクライナにいるロシア系住民の救助にあり、中国もまた自国に多くの少数民族を抱えているからだ。もしウイグル族やチベット族が中国政府に虐待されているとして他国に救助を求め、他国がそれを理由に中国に軍事侵攻する動きを見せたら、習近平は絶対に許さないだろう。従って軍事侵攻には絶対反対の立場を貫いている。

 しかし、米国から制裁を受けている国同士として、習近平はプーチン政権に崩壊してほしくない。そこで経済的にはロシアを支援するという「軍冷経熱」の姿勢を貫いているのだ。例えば、中国のロシアからの輸入の78%を占めるエネルギー資源に関して2022年統計で前年比54%も増加しており、対露輸出に関しては化学工業品が77%増、車両・輸送機器関連部品が47%増などとなっている。

 実際のところ、対露制裁を行っていない発展途上国や新興国などの人口は全人類の85%を占めている。習近平は「人類運命共同体」という外交スローガンを軸に、その85%の国々を中国側に引き寄せ、非主要7カ国(非G7)系列側による新しい世界秩序を形成しようとしている。

 新興5カ国(BRICS)にも、中露などが中央アジア諸国と創設した地域協力枠組み「上海協力機構(SCO)」にも加盟する、インドのモディ首相はプーチンと仲が良い。そこで習近平は、ユーラシア大陸を南北に貫く非米ドル経済圏形成を狙っている。

「プーチンと不仲」で一芝居

 その経済圏の西側諸国に対する盾となってくれている中央アジア諸国は特に重要だ。反北大西洋条約機構(NATO)色の強い上海協力機構の中核を成す中央アジア諸国は、もともとはプーチンとも仲が良かったのだが、ウクライナ侵攻に関しては賛成していない。それを見て取り、米国が揺さぶりを掛けてきた。

 そこで昨年9月にウズベキスタンで開催した上海協力機構会議で、プーチンと習近平は「一芝居」を打った。仲が悪いふりをしたのだ。習近平は他の国々の首脳には満面の笑みを浮かべながら、プーチンに対してはニコリともしなかった。習近平を中心にウクライナ侵攻に反対する…

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週刊エコノミスト

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