まだある!注目20銘柄 笹木和弘
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米国にはまだまだ見逃せない銘柄が多い。注目の20銘柄を紹介する。
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米国株相場は足元でインフレ圧力再燃への警戒感が台頭している。インフレ圧力の背景には生産・供給制約が強まる構造変化がうかがわれる。
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第一に、高齢化の進展によるリタイア人口の増加傾向だ。これは生産・供給活動の人手不足をもたらす一方で、医療ヘルスケア需要、余暇・スポーツ・レジャー需要にもつながる。人手不足対応では、航空機パイロットから医療従事者の訓練まで行うCAE(ティッカー:CAE)が注目される。医療ヘルスケアでは、糖尿病向けに皮下組織で血糖値を常時測定する埋め込み小型機器を開発・製造するデクスコム(DXCM)、余暇・スポーツ・レジャーではゴルフ弾道測定に加えてGPS活用でさまざまなスポーツ・健康管理向けの通信デバイスを扱うガーミン(GRMN)が挙げられる。
第二に、エネルギー問題の深刻化だ。これには「脱炭素化」と「欧州の脱ロシア依存」の二つの側面がある。脱炭素化では、再生可能エネルギー大手のネクステラ・エナジー(NEE)および原発向けにウランを供給するカメコ(CCJ)が注目される。欧州の脱ロシア依存では、液化天然ガス大手のシェニエール・エナジー(LNG)が輸出を伸ばしている。
「分断」が追い風も
第三に、G7諸国によるロシアへの経済制裁や米国の対中国半導体規制などにより経済の分断化が進み、企業が供給網再構築を迫られている点だ。このような地政学要因はジェイビル(JBL)のような幅広い業界向けに電子機器等の一括受託製造を行うメーカーへの追い風となろう。
これらの構造変化は株式市場ではグロース(成長)銘柄よりはバリュー(割安)銘柄への物色を強めやすい。これは、利回りが上昇した債券投資の魅力を相対的に高めやすい。債券の信用格付けで世界大手2社の一角を占めるムーディーズ(MCO)に追い風だろう。また、最近はESG(環境・社会・統治)の視点で気候変動対策への貢献度合いがバリュー評価にも影響を与えている。ETF(上場投資信託)が参照する指数の開発で気候変動対策が重要性を増しており、MSCI(MSCI)のような金融サービス会社による指数開発ニーズが高まろう。
足元では中央銀行の利上げ継続が景気後退を招くとの懸念がくすぶる一方、アジアを中心に国境をまたぐ移動はこれか…
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週刊エコノミスト
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