株主還元強化のランク1位はスターティア 上位に工作機械、商社、鉄鋼 仲村幸浩
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東証の市場再編前後で増加傾向にある株主還元。積極的に動いた銘柄を配当成長率とROE改善度でランキングした。
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株主還元を強化する上場企業が増えている。好調な企業業績だけが理由というわけではない。2022年4月の東京証券取引所の市場再編で、上場維持基準の一つに流通株式時価総額が設けられ、企業は価値向上策を求められていることも背景にあるとみられる。東証が23年1月にPBR(株価純資産倍率)が1倍を下回る企業に改善を促したことも後押ししている。
株主還元を強化しているのは、どんな銘柄なのか。東証が上場企業に対して新市場の基準を満たしているかどうかを通知した21年7月から、23年2月末までに自社株買いを発表したプライム市場の665銘柄を対象に、「配当成長率」と「ROE(株主資本利益率)改善度」の両指標を基に株主還元の総合スコアを算出した。
ここで、配当成長率は「会社が計画する今期の1株当たり配当÷1株当たり配当の前期実績」で定義し、ROE改善度は「21年度会計期のROE÷20年度会計期のROE」で算出した。そのうえで、665銘柄を母数として0〜1の値に収まるように、それぞれの指標でパーセンタイル(データを大きい順に並べて値の順位を百分率表示)し、各銘柄について両指標に基づくパーセンタイルを合計して総合スコアとした。
この結果、最もスコアが高かったのは、デジタルマーケティング事業などを行うスターティアホールディングス(HD)だ。23年3月期は過去最高益を計画し、23年2月には配当予想も大幅に増額した。大規模な自社株買いを行った22年3月期からROEが大幅に改善した。
また、工作機械メーカーの牧野フライス製作所が2位、オークマが8位に入った。景気動向に左右されやすい業種だが、両社ともに今期配当はコロナ禍以前より高い水準を計画する。両社に共通するのは自己…
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週刊エコノミスト
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