プロのNISA指南2 まずはインデックス投信でコツコツ取り崩さず積み立て 篠田尚子
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新NISAでは、まず取り崩しせずにじっくりと腰を据えてつみたて投資枠を利用し、その上で資金を見て成長投資枠を使っていきたい。
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新NISAは、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の二つで構成され、枠の再利用が可能となる。これにより運用商品の見直しや、資金が必要になったタイミングで引き出すことも含め、柔軟な対応ができるようになる。
また、成長投資枠については買い付け方法が積み立てに限定されないため、まとまった資金の投資に活用することも可能だ。対象商品は投資信託に限定されず、一定条件をクリアした株式も含まれるため、リスク許容度に合わせた柔軟な投資方法を選ぶことができる。
分散目的で世界に投資
新NISAの制度概要を踏まえると、「『全世界株式』のインデックスファンドで、細く長くコツコツ積み立て」を基本線としながら、資金の性格や投資可能年数に応じて、成長投資枠の使い方を検討する、というのがいいだろう。
積み立ては少額から始めることができ、初心者にもおすすめしやすい投資方法だが、一定の成果が出るまでには年単位の時間がかかる。このため、つみたて投資枠に関しては、取り崩すことは想定せず、腰を据えて資産の積み上げに専念したほうが賢明だ。
なお、商品を全世界株式のインデックスファンドとしたのは、コストを抑えながら、手軽に国際分散投資を実現できるためだ。全世界株式は日米欧のほか、新興国を含む全世界の株式に幅広く投資できる。近年は米国株に人気が集中していたが、長い目で見た時、どの地域にどのタイミングでスポットライトが当たるかは分からないので、インデックスで効率よく各地域を網羅しておくことをおすすめしたい。
続いて、肝心の成長投資枠の使い方についても見ていこう。
前述の通り、成長投資枠は買い付け方法が積み立てに限定されず、対象商品には株式も含まれる。さらに、年間投資枠も240万円とつみたて投資枠の2倍あるので、株主優待や配当を目的とした銘柄選びをしてもよい。
しかし、NISA口座内の株式投資については、かねてから株価が高く、最低売買金額のハードルが高い「値がさ株」の存在が指摘されていた。代表格はユニクロを展開するファーストリテイリングや、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドなどだ。近年はネット証券を中心に、単元未満株の取り扱いも拡充されてきたが、日本取引所グループ(JPX)が提唱する「個人投資家が投資しやすい環境の整備」の根本的な解決にはなっておらず、投資単位の引き下げという課題自体は依然残ったままであった。
この点に関して、最近は「株…
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週刊エコノミスト
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