インタビュー「オトナの投資を始めてほしい」松谷博司・投資信託協会会長
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投資信託協会会長の松谷博司氏にNISAの制度としての評価、投資に持つべき考え方を聞いた。(聞き手=白鳥達哉/加藤結花・編集部)
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── 現行のNISAが2014年1月に開始されてから9年が経過したが、これに対する評価は。
■NISAが始まってから開設された口座は約1700万、そして買い付け額は約28兆円に上る。これを見ると一定程度の成功はあったといえる。
NISAは、13年12月に廃止された「証券優遇税制」の代替措置の側面もあった。証券優遇税制は資本市場にお金を呼び込むことを前提にしていたが、NISAのような資産形成を促す制度に変わった意味は、とても大きかった。
── 新NISAの評価は。
■昨年7月に、政府が掲げる「新しい資本主義」の実現に向けて、投資信託協会からの提言を発表した。その中でNISA口座の開設期間の恒久化、年間投資非課税枠の拡大などを提案したが、100点満点中、95点の拡充がなされたと評価している。
残りの5点は、新NISAが始まってから出てくるであろう改善点への期待になる。NISAそのものは若い人が長期に資産形成をしていくことの促進を目的としているが、今後は大きな資産がたまり仕事をリタイアしたシニア層が、資産寿命をどのように延ばしていくのかに課題が出てくる。いずれはそこに対する制度を整えていくことも必要になってくるだろう。
投資で社会に参画
── 日本人は投資に対して、どのような考えを持つべきなのか。
■「投資」というと、どうしても老後に向けてお金をためると考えがちだが、それだけではない。自分が生きている社会の成長、未来をつなぐための「オトナの投資」を始めてほしいと私は考えている。自分の問題だけを解決する「meイズム」では世の中は良くならないし、投資自体を長く続けることも難しいのではないか。
たとえば、昨今は気候変動が問題となって…
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週刊エコノミスト
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