プーチンは自身を“東スラブの英雄”ネフスキーに見立てているのか 片山杜秀
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片山杜秀の闘論席
「アレクサンドル・ネフスキー」。世界映画史上、指折りの傑作である。1938年のソ連映画。監督はセルゲイ・エイゼンシュテインだ。
13世紀、東スラヴ世界に、モンゴル帝国初代皇帝チンギスハンの孫、バトゥの率いる騎馬軍団が侵入する。東スラヴにはまだ強国といえるほどの国が育っていない。キエフ(キーウ)の支配者であるキエフ大公を中心にした、緩やかな連合国家があるだけだった。キエフ大公国と呼ばれた。王といえるほどの権威も権力もまだない大公に、周辺のいわば“中公”や“小公”たちが従っている。そんな大公国はモンゴルの敵ではない。滅亡させられた。
が、キエフとともに玉砕せず、生き残った公国もあった。アレクサンドル・ネフスキー率いるノヴゴロド公国である。ネフスキーは東方からの侵略者に頭を垂れ、西から沃土(よくど)を求めて侵略してきた新たな敵と戦った。ポーランド、スウェーデン、ドイツの騎士団である。ローマ・カトリックの勢力だ。
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週刊エコノミスト
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