マーケット・金融THE MARKET

《東京市場》日米で“金融売り・ハイテク買い” 藤戸則弘

 シリコンバレー銀行など米地銀の破綻で、投資家はリスクに敏感になっている。今回の米地銀が破綻に至った根本的要因は、名目金利からインフレ率を差し引いた米実質金利がマイナス圏下で、過剰なリスクテークを行ったことにある。極端に低い調達コストを生かして、これをベンチャー企業や暗号資産関連企業への投融資に向けていた。こうした米地銀は、一時大きな収益を上げ、業容も拡大傾向が続いていた。

 しかし、昨年以降の米連邦準備制度理事会(FRB)の連続的な引き締め策によって、創業間もない未上場企業や暗号資産関連企業のバブルは崩壊した。レバレッジをかけた過剰な投融資は損失拡大につながり、問題発覚を契機に企業・消費者は一気に預金を引き揚げた。従来の銀行不安では、預金者が口座解約に列をなす光景が見られたが、デジタル化が進んだ現在では、パソコンやモバイルで瞬時に解約が膨張して破綻へと直結した。FR…

残り551文字(全文939文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

4月30日・5月7日合併号

崖っぷち中国14 今年は3%成長も。コロナ失政と産業高度化に失敗した習近平■柯隆17 米中スマホ競争 アップル販売24%減 ファーウェイがシェア逆転■高口康太18 習近平体制 「経済司令塔」不在の危うさ 側近は忖度と忠誠合戦に終始■斎藤尚登20 国潮熱 コスメやスマホの国産品販売増 排外主義を強め「 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事