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インタビュー「植田日銀新総裁にゆがみの修正を期待」加藤勝彦・全国銀行協会会長
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4月1日、全国銀行協会の会長に加藤勝彦氏(みずほ銀行頭取)が就任した。欧米で不安定化する金融市場の動向や10年ぶりに交代する日銀総裁について聞いた。(聞き手=浜條元保・編集部)
── 3月に米国の地銀が経営破綻し、金融市場に緊張が高まった。
■シリコンバレーバンク(SVB)の破綻は固有の問題と認識している。ただ、軽視すべきではなく、しっかりマーケットをモニタリングしていく必要がある。米国は政策金利をゼロから5%にまで引き上げ、景気後退を促している。予期せぬ副作用は起こりうるものだった。現時点で金融システム不安が起きているという認識はないが、今後、連鎖や風評には身構えておく必要がある。
── SVBが破綻に至る過程では、SNS(交流サイト)が影響したという指摘がある。
■2日間ぐらいで急激に預金が引き出された。原因として規制緩和か、マーケット環境が新しくなったのか検証中だ。日本でもこうしたことが起こるかといえば、原因となった粘着性の低い預金は、地銀、メガバンク含め少ないだろう。
── SVBに続いてクレディ・スイスが経営破綻した。
■これも個別の事情と認識しているが、G-SIBs(グローバルにシステム上重要な銀行)の一角だったという意味でインパクトは大きい。結果としてUBSが救済したが、すぐに主要6中銀が流動性を供給するなど各国が機動的に対応した。金融システム不安につながるとは見ていない。
日本のAT1債とは異なる
── クレディ・スイスのAT1債が無価値になった。
■詳細は把握していないが、スイス政府・当局が契約の中で判断したこと。日本におけるAT1とは契約が異なる。欧州でも中銀が、スイスとは異なるとすぐにコメントを出した。
── 米国は約40年ぶりともいわれるインフレ下にあり、この1年で急激な利上げをしてきた。
■賃金インフレという構造的な問題を含んでいるので、なかなか下がらない。利上げをし…
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週刊エコノミスト
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