インバウンド需要は今後も拡大 持続可能な観光を目指す 蒲生篤実
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昨年10月の水際措置の緩和以降、インバウンド市場は回復の兆しを見せており、また、旅行雑誌や一般紙などの海外メディアの人気旅行先ランキングでも、日本が高い評価を受けている。これは、新型コロナウイルス禍においても、国内の地方自治体・DMO(観光地域づくり法人)・観光関連事業者と日本政府観光局(JNTO)が連携し、継続してプロモーションを展開した効果でもあると考えている。
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訪日旅行者数は2023年2月には約150万人となり、コロナ前の19年2月と比べると57%、現地側で制限の続く中国を除くと77%まで堅調に回復している。特に欧米などのロングホール(地域外の遠い国まで行く観光)の市場については、予約から実際に訪日するまでにはある程度の期間が必要と考えられるため、全体的には今後も需要の拡大が続くことが想定される。
3月末に「持続可能な観光」「消費額拡大」「地方誘客促進」の三つをキーワードとする新たな観光立国推進基本計画(第4次)が策定された。また、JNTOにおいても23年度から新たな中期計画期間がスタートした。
基本計画で示された旅行消費額5兆円の早期達成、旅行消費額単価、地方部宿泊数などの25年政府目標の達成に向けては、ポストコロナにおける旅行ニーズの変化・多様化に対応することが重要となる。世界的な潮流ともいえる持続可能な観光の実現を念頭に、市場の成熟度に応じたそれぞれの市場の特性を踏まえた情報発信に加え、消費額拡大に資する高付加価値旅行や長期滞在・地方誘客につながるアドベンチャートラベルを推進するなど、きめ細かなマーケティングを展開していく。
また、デスティネーション(旅行目的地)としての魅力向上に向け、国内のインバウンド関係者の支援・連携強化を図るほか、大阪・関西万博などの大規模イベントが開催され、日本の注目が高まる機会を捉え、国際会議な…
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週刊エコノミスト
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