インタビュー「日本の新しい魅力を発信」小山正彦・西武・プリンスホテルズワールドワイド社長
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プリンスホテルブランドを展開する西武・プリンスホテルズワールドワイドはインバウンド回復の好機を業績改善につなげる。(聞き手=村田晋一郎・編集部)
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── インバウンド(訪日外国人観光客)の回復の状況は。
■2022年10月11日の水際対策緩和から急速に戻ってきた。中国がまだ戻っていない中で、23年2月は新型コロナウイルス禍前の19年2月と比べて7割の水準まで戻っている。
── 現状でインバウンドを迎える上での課題は。
■一つは、要員がコロナ前のような十分な体制になっていない。もう一つは、客室平均単価(ADR)を今以上、コロナ前以上に上げて、高単価のお客様をもっと獲得していきたい。そのためにはプリンスホテルの海外での知名度をもっと高めていくことが課題となる。
── 要員を確保できていないのは、コロナ禍で人を減らしたからか。
■当社は人員削減をしていないが、コロナ禍で観光業に見切りをつけて、自発的に転職していった人たちがいる。また、有期契約者が契約満了で離れていったケースもある。都市部のホテルは体制が整っているが、リゾートのホテルはまだ弱い。この1月2月は苗場(新潟県)や志賀高原(長野県)、北海道などスキーの事業所には都市部のホテルから応援を出してやりくりした。今後、コロナ前の水準以上まで戻った時、各ホテルの体制を整えることが大きな課題になると認識している。
新ブランド戦略を展開
── 今後のインバウンド戦略は。
■コロナ禍の3年間、都道府県をまたぐ移動が制限されたため、当社は「近場旅」をテーマに掲げた。そして、遠くへ旅行できない地元の人にプリンスホテルに泊まっていただくキャンペーンを行った。その際に我々も、地元のおいしい料理を食べられるレストラン、歴史ある神社仏閣や建築物など、近場の魅力を再発見する機会になった。こうして発掘した地域の魅力を強化し、国内だけでなく海外にも発信していく。インバウンドにも、今までにない日本の魅力を感じ、滞在価値を高めるサービスや商品をアピールしていく。
── 3月に新しいブランド戦略を定めた。
■当社は絶景が楽しめる場所に多くの…
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週刊エコノミスト
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