経済・企業 新頭取
インタビュー「リスクばかりを言って手を縮こませることはない」福留朗裕・三井住友銀行頭取
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4月1日に三井住友銀行の頭取に就任した福留朗裕氏に、グローバルな金融経済情勢の動向、新頭取としてどんなかじ取りをするのかを聞いた。(聞き手=浜條元保・編集部)
── 米国地銀が経営破綻したのに続き、クレディ・スイスがUBSに救済買収された。
■各国政府・監督当局の対応が早く、いったんは収束するのではないか。私が思っていることは、リーマン・ショックの約1年前に起きた「パリバ・ショック」のイメージ。1年後くらいに、これまでにたまったいろいろなマグマが、噴き出さなければいいが。
ただリーマン・ショックの時に、我々は相当に学んだ。米国では銀行規制が強化され、国際的な規制も強まり、大手の資本はすごく厚くなっている。かつ各国の金融監督、および中央銀行の連携もすごくいい。ただし、そういうことをすべて頭に入れながら、しっかり現地で起きていることをモニターしていきたい。オポチュニティー(機会)は必ずある。お客さまの役に立てるという意味でのオポチュニティーだ。悲観的ではない。
── 米連邦準備制度理事会(FRB)はインフレと金融システムの両方に目配りが必要になった。
■本当に難しいかじ取りだ。米国のインフレは下げ止まった。(目標とする)2%は難しいのではないか。もう少し上で下げ止まると、また長期金利のレベルの探り合いになり、それがみえてくるまでは変動率が高まるだろう。
── ドル・円レートは?
■ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)的には、1ドル=105~110円が中心の相場だったのが、10~20円、円安方向に中心点がずれて、新しいレンジで上下に動く相場のイメージだ。つまり、1ドル=115~120円が中心。もっと円安方向に中心が移るかもしれない。120~150円を行き来する相場だ。
国内は「宝の山」
── 日銀は4月に10年ぶりに総裁が交代し、経済学者の植田和男氏が総裁に就任した。
■植田氏はアカデミック部門の出身だが、プラクティカル(実務的)なアプローチをしている。実体面にも興味を持ち、しかもコミュニケーション能力が抜群だ。加えて、2人の副総裁との組み合わせがすばらしい。ただ、これ以上の難しい局面はな…
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週刊エコノミスト
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