投資・運用

新築でも大都市近郊外なら3LDK4000万円台も 櫻井幸雄

「ローレルコート瑞江」の外観
「ローレルコート瑞江」の外観

 新築価格が高騰しているからとあきらめる必要はない。お手ごろ価格の物件はまだまだある。

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 新築マンションの価格はこの10年で大きく上昇した。不動産経済研究所の調べによると、2012年、東京23区内の新築マンション平均価格は5283万円だったのが、22年には8236万円まで上がった。10年間で3000万円近い上昇だ。

 理由としては、建設費や地価の上昇に加えて、高くなっても買う人が次々に現れたことで、マンション価格を一段と引き上げたためだ。

 特に三つめの要因は重要だ。高くても買う人がいるから、地価が上がったし、建設費の上昇も容認された。従って、今後も地価、マンション価格が上がり続けるかどうかは「高くても買う人」の数次第ということになる。

高値支えた「買い替え層」

「高くても買う人」たちは、主に買い替え層だ。すでにマイホームを所有しているが、マイホームを売却し次の住宅を買う人々を指し、不動産業界では「2次取得層」と呼ばれる人たちである。

 2次取得層の場合、手持ちのマンションがこの数年で大きく値上がりしたケースが多い。購入時より2000万円、3000万円と高く売れた場合、「居住用財産を売却したときの特別控除」という税制の恩恵により、利益3000万円まで税金が発生しない。売却金額が丸々懐に残り、次のマンションを買う資金となった。

 大きな資金を基に次のマンションを買うので、新築マンションが高額になっても購入可能となる。マイホームを売ってもうかった人は、「夢よもう一度」と、もうかりそうな都心の物件を買おうとする。「買い上がり」を狙った2次取得層が盛んに新築マンションを買う動きが都心マンションの価格を押し上げた。

 高額の都心マンションが価格を上げ続けた結果、東京の山手線内側エリアでは3LDKが1億円を大きく超えるようになった。すると、初めてマイホームを買う1次取得層ではなかなか手が出ない。2次取得層や投資家が購入主体になるのは仕方がないだろう。

 問題は、この先も2次取得層が高額の都心マンションを買い続けるか、という点にある。

 しかしながら、2次取得層が今後も「買い上がり」を狙って、買い替えを続けられるとは思えない。経済状況が不安定であるし、世界情勢に不安を感じる局面もある。住宅ローンの金利が上昇する懸念もある。

都心部中古の上昇は一服

 なにより、中古住宅の価格が落ち着いてきたという不動産市況の変化が買い替え層の動きを止めそうだ。

 この数年、「買い上がり」の動きを後押ししたのは、中古マンションの価格上昇だ。特に都心マンションは中古の取引価格が上がり続けた。その結果、「マイホームが高く売れるなら、買い替えてみようか」という動きが生じた。動きの発端は、都心・中古マンションが高く売れたこと。この都心・中古マンションの価格上昇は、昨年後半から止まり始…

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