投資・運用 最強のマンション購入術
住宅ローンにボーナス併用払いは禁物 深野康彦
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固定金利と変動金利の金利差は1%もある。日銀はこの差を埋めるほどの利上げはできない。
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新たな日銀総裁に植田和男氏が就任し、金利引き上げに注目が集まるなか、住宅ローンをどう考えればよいのか。安全を期して固定金利で借りるのか。将来の金利上昇リスクはあるものの足元では金利の低い変動金利で借りるのか。悩みどころであるが、筆者は一貫して変動金利で借りるべきだと考えている。なぜなら、固定金利と変動金利には依然として大幅な金利差があるからだ。
固定金利の代表は「フラット35」。2023年4月の返済期間35年の最低融資金利は1.76%だ。一方、変動金利は0.1%台を提供する銀行も現れたが、平均すれば融資実行金利は0.75%前後と推測される。世帯年収1000万円台のパワーカップルが8000万円のマンション購入のために6000万円を35年返済で借りた場合、毎月の返済額はフラット35=19万1450円、総返済額=8040万9000円。変動金利(0.75%)は、同=16万2470円、総返済額=6823万7587円となる。毎月の返済額で約2万9000円、総返済額で約1217万円もの差になる。変動金利は返済が終了しないと総返済額は確定しないが、1000万円を超える差を埋めるほどの金利上昇は、日本経済の実力を考えると難しいと思える。
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なお、ここで借入金6000万円としたのは、住宅ローンの借り入れは収入の5〜6倍程度といわれるので、年収1000万円台で6倍の6000万円。マンション価格8000万円は、筆者や知り合いのファイナンシャルプランナーに相談が多かったので、事例として記載した。
日銀が16年1月29日にマイナス金利政策を導入決定した時は、変動金利型の住宅ローン金利は引き下げられていない。このためマイナス金利政策を変更した時に変動金利型の金利は上げるのはつじつまがあわない(銀行は利ざや改善のため引き上げるかもしれないが)。政策金利が0%に戻った時点を起点に考えれば、約1%ある固定金利と変動金利の金利差を埋めるために、日銀は4回以上の利上げを行う必要がある。なぜなら日銀の政策金利変更は原則0.25%の幅だからだ。しかし、4回以上もの利上げは、日本経済がバブル期以来の絶好調の状態でもない限り行われない。筆者は、今の日本にバブル期並みの好景気が…
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週刊エコノミスト
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