直流送電で世界2強は日立と住友電工 主戦場は欧州(編集部)
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北海道や東北の日本海海域で計画されている大型風力発電の電気を首都圏に運ぶ広域送電網構想で採用されるのが、直流高圧送電の技術だ。この分野で世界2強が日本勢である。直流送電システムで世界首位の日立製作所と海底送電ケーブルで世界最高電圧を更新してきた住友電気工業だ。
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日立は、直流高圧送電技術で世界首位のスイス重電大手ABBからパワーグリッド(送配電網)事業を2020年7月に7000億円で買収。日立エナジー(旧日立ABBパワーグリッド)として欧州を中心に直流送電システムで世界シェア約5割、首位を維持している。
住友電工は耐久性、耐熱性に優れたプラスチック絶縁体の技術を持ち、海底送電ケーブルでは欧州3強と肩を並べている。昨年7月には英独を結ぶ国際送電ケーブルを受注。525キロボルトの世界最高電圧のケーブルを受注した。
再エネの普及で、送電ロスが少なく長距離輸送に適した直流送電のニーズは高まっている。両社とも日本の広域送電網の実現に高い期待を寄せているが、ウクライナ紛争を機に日本の数十倍の規模で洋上風力の開発を進めている欧州が現在の主戦場だ。
住友電工は4月27日、英スコットランドに2億ポンド(約340億円)を投じ、送電ケーブル工場を新設すると発表。送電線を中心とした部門の売上高を22年度の9282億円から25年度までに1兆200億円に増やす。
欧州は兆円単位の商談
日立エナジーも自励式と呼ばれる方式で1500万キロワットの直流送電システムを完工済みで、受注残は同3300万キロワット。その9割が欧州を中心とした海外だ。
同社の22年度のEBITDA(税前利払い前償却前営業利益)は1246億円。巨額買収はEBITDAの5~10年分が適正価格といわれるが、あと数年で償却できる。けん引役はやはり欧州。今年3月には蘭独の送電会社から1200万キロワットの直流送電システムを130億ユーロ(約1兆4800億円)で受注した。両国が30年までに整備する4000万…
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週刊エコノミスト
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