PBR1倍割れ銘柄でもトップ交代で妙味 秋野充成
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PBR(株価純資産倍率)1倍割れでも、改革が期待できるトップ交代銘柄は注目だ。
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株価純資産倍率(PBR)1倍割れの銘柄に投資家が注目している。本来は株価が解散価値を下回り、市場から「落第」の烙印(らくいん)を押された不名誉な評価だ。だが、現在は「割安でお買い得な投資対象」の様相を帯びている。
きっかけは、東証が1倍割れの是正を求めたことと、米著名投資家のウォーレン・バフェット氏が5大商社株を買い増したことだ。今年3月末時点で東証プライム上場の約5割が1倍割れだった。対して米S&P500種採用企業で3%、ストックス欧州600採用企業では19%しか存在しない。
東証の注意喚起を機に、日本市場にこれほど多くの低評価の銘柄が存在することを初めて知った外国人投資家が多い。外国人たちは不確実性が高まる世界の市場環境において、日本は割安に放置された銘柄が多数存在する「最後のフロンティア」であると認識した。
豊富な現金を持つ1倍割れ企業は、増配や自社株買いなどの期待で株価はある程度上昇するだろうが、単なる株主還元策では、上昇は一時的だ。外国人投資家は資本効率を高め、利益率を上げ、企業価値を向上する企業を選ぶ。そうした観点で、社長交代が発表された1倍割れの企業群は注目だ。表では、新社長が1倍割れの改善に動くと思われる企業を選んだ。
三井不、株主還元実施へ
まずは、三井不動産。4月1日就任の植田俊・新社長は、5月12日決算説明会で、「次世代の成長」を強調。資本効率向上と株主還元の両立に意欲を示した。「脱・不動産デベロッパー」へ向けて3兆2000億円以上の賃貸不動産含み益の活用と、純資産の25%以上を占める政策保有株売却が注目だ。
6月株主総会後、社長に就任予定のワコールホールディングスの矢島昌明取締役は5月12日決算説明会で、「収益性向上と同時に、資産効率、資本効率を改善させることでROE(株主資本利益率)向上を実現する」「成長投資を優先すると同時に、資本効率の改善に向けて積極的に株主還元を実施する」と明言。構造改革の加速と、純資産の25%以上を…
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週刊エコノミスト
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