300年続く「いい会社」を買う 五十嵐和人
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コスト削減ばかりが「解」ではない。鎌倉投信は社会課題を解決する「いい会社」に、100年単位で投資する。
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鎌倉投信が設定・運用する投資信託「結い2101」は、本業で社会課題解決に取り組む投資先を「いい会社」と定義付け、投資先が「いい会社」である限りその株式を保有し続ける。当社社長鎌田恭幸の言葉でいうと、「300年続く会社に100年投資する」という考えだ。
では、いい会社とは何か。当社では三つの価値基準を満たした会社がその対象になる。一つは「社会価値」。事業を通じて社会課題の解決に貢献する会社かどうか。受益者(投資家)が応援したい会社であるかどうかともいえるだろう。二つ目が、「持続的価値」。安定した財務基盤など会社が存続する上で必須となる基礎的な要素だ。三つ目が「個性価値」。企業価値創造の源泉となる要素で、際立った個性のある会社を投資対象として選んできた。
個性価値を測る上で、「人」「共生」「匠(たくみ)」の3要素を主な着眼点としている。「人」であれば社員個人を尊重する経営姿勢に注目する。ある投資先がリストラで人員削減に踏み切った時には、当社はその企業の株式の買い付けを一旦停止した。経営トップと面会して、リストラに至った経緯を確認し、経営責任とのバランスを考慮して、受益者に納得してもらった時点で投資を再開した。従業員口コミサイト「OpenWork」も参考にして、気になったことがあれば投資先に照会する。
「共生」に着目した企業の一つがカゴメだ。「野菜をとろう」との呼びかけを続けていて、健康寿命の延伸に関する需要の掘り起こしに取り組んでいる。野菜のままで取りにくいのであれば、飲料でという事業展開には、同社の課題に対してやり切る姿勢を感じる。
「匠」に着眼した投資先企業の一つにシマノがある。自社で自転車を作らず、自転車用部品を提供して、世界的に高いシェアを持つ。知的資本と製造資本を最大限活用できる事業モデルを構築した点を評価した。
全受益者の96%が含み益
ファンドの目標(期待収益率)は、長期的に年率4%のリターンを得ること。信託報酬が1%なので、…
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週刊エコノミスト
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