インタビュー「東急直結は100年に一度の好機」平野雅之・相鉄HD取締役執行役員・経営戦略室長
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東急直通線開通が話題の相鉄ホールディングスに今後の戦略を聞いた。(聞き手=浜田健太郎/和田肇・編集部)
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── 3月の相鉄・東急直通線の開通による増収効果は。
■数字は公表していないが、今年度は37億円の増収効果を見込んでいる。3年後は48億円程度の増収見込みだ。相直線(相鉄・東急直通線)の利用が定着すれば、1日当たり13万人の乗客を見込んでいるが、顧客が定期券を買い替えたり、通勤経路を変えて普段利用するまで、3年ぐらいかかる。今年度は13万人の3分の2ぐらいだろう。相直線で大量の新型車両を導入したので、償却負担が重い状況だ。そこが平準化したところで、PBR(株価純資産倍率)などの株価指標を考えてみたい。当社は沿線に大きな観光地がないので、インバウンドの効果はそれほどない。日常の通勤・通学客が多い。テレワークが普及したので、乗客数はコロナ前の水準には戻らないと見ている。
売上高全体の半分近くが不動産事業でこれが最大。運輸(鉄道・バスなど)事業は4分の1ぐらい。マンション事業は好調で、横浜駅西口前鶴屋町の高層複合ビルは上層階が住宅。売れ行きが非常に好調だ。最近の住宅開発は駅から近いよい場所だけをやるようになっているので、交通利便性のよい場所はよく売れる。賃貸事業は相鉄ジョイナスなど商業テナントの比率が高い。ホテル事業は神奈川県外に出て首都圏、関西にも展開している。
住宅販売でも効果
── コングロマリット経営を今後どうするのか。
■横浜市も郊外から徐々に少子高齢化が進んでいる。ホテル事業は沿線に縛られる必要がない。鉄道業の沿線を中心としたコングロマリット型から、沿線に縛られないコングロマリット型経営へと変わっていく必要がある。ホテル事業はすでに四つ目の事業の柱になっている。鉄道というインフラを根源として事業展開しているので、いろいろな事業をしても「地元の相鉄だから決して逃げない」と地域の方に評価されているので、そこが当社のブランドの根源。各事業分野の単体では、非鉄道系の他社に勝てない部分があるかもしれないが、地域の生活インフラ企業としての信頼感、…
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週刊エコノミスト
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