注目業界2〈大手電機〉自動車部品とパワー半導体で攻め
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ソニー、日立に続くと期待される2社。企業文化の変革も鍵を握る。
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電機産業は、時代とともに製品やサービス内容が著しく変わる。変化力が、各企業の栄枯盛衰の鍵を握る。国内大手で注目は三菱電機とパナソニックホールディングスである。
三菱電は、一昨年6月以降、品質関連の不祥事が発覚し、昨年10月に最終報告書を発表。背景には「言ったもん負け」という上司に意見が言えない企業風土があった。漆間啓社長は、これを変えるため、経営コンサルタントに丸投げせずに、社内の若手・中堅によるプロジェクトチームを立ち上げて風土変革に取り組んでいる。
同社は事業ポートフォリオの見直しにも着手。3年間で累積約900億円の赤字を出した自動車機器事業を分社化して他社と統合させる方針だ。
事業再編で先行した日立製作所は今年3月、ホンダ系部品3社と統合した日立アステモを上場させる方針を公表。パナソニックも自動車関連は好調ではない。日立、三菱電、パナソニックなどの日本勢は、独ボッシュなど「グローバル・ティア・ワン」(自動車メーカーに直接納入する有力企業群)に比べると規模が中途半端である。この分野で日本勢の再編が起こるかどうかは要注目だ。
車載電池に6000億円
パナソニックは、営業利益ベースで1984年11月期(5756億円)を上回っておらず、収益面の停滞は約40年に及ぶ。その同社は、5月18日のグループ戦略説明会で、24年度までに車載電池に6000億円近くを投じ、生産能力を30年度までに200ギガワット時と22年度比で約4倍に引き上げる方針を示した。北米に新拠点を展開するが場所は未定。また、大阪府内に生産技術や次世代機種など車載電池の研究開発拠点2カ所を新設する。具体的な規模、時期は明言しなかったが、事業ポートフォリオの見直しも行うとした。
楠見雄規社長は説明会で、車載電池について、「レッドオーシャン(過当競争)が予想される」としながらも、「微細化に伴い新工場を次々と建てる半導体と違い、電池は中身の化学組成を変えて進化する」と述べ、規模拡大のみが勝負の決め手ではないと強調した。
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週刊エコノミスト
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