投資・運用

注目業界4〈エネルギー〉電力は苦境 石油は収益改善

 エネルギー業界の重要課題を反映して、将来は脱炭素化が比較的容易な電気へのシフトなどが進む可能性もある。

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 エネルギー業界および企業の将来を左右する重要課題の一つは低・脱炭素化への対応だろう。現状の低炭素化局面では、温室効果ガスの排出原単位が小さいガスへのエネルギーシフトが促されるため、当面、エネルギー業界では都市ガス会社が相対的に優位になると考えられる。

 東京ガスは、前年度の業績が原油・液化天然ガス(LNG)価格の高騰や為替の円安などによって、著しく押し上げられていた反動により、今年度は減益見通しだが、為替などの経済環境の変化による影響を除いた実質業績は堅調で、事業展開も着実に成果を上げている。大阪ガスは、前年度に1500億円近い損失(設備トラブルによる操業停止)を計上した米フリーポートLNGプロジェクトの運転再開による増益効果などにより、今年度は業績の回復が期待でき、エネルギー企業の中で最も事業の多角化・領域の展開が進んでいる点などにも強みがある。当面はこの2社が注目される。

今後は脱炭素化対応

 一方、電力会社は電力システム改革の失敗、原子力政策の混迷、料金制度の問題などにより、業績は低迷し、財務体質も悪化したため、大半の会社が配当などの株主還元を満足に実施できない状況に陥っている。電力各社は、コスト削減、事業の多角化や海外展開などによって、企業価値の向上に取り組んでいるものの、公益的課題への対応を電力各社に一義的に押し付けている非対称規制の撤廃など、電気事業全体の合理化・効率化につながる抜本的な制度改正が実施されない限り、電力各社は高く評価されにくい状況が続くと予想される。

 石油業界は、石油元売りがENEOS、出光興産、コスモ石油の3グループに集約された2016年以降、国内需要が減少傾向で推移する中、精製設備などの集約、割安な価格での系列外取引の削減、採算販売の徹底などによって、国内の収益環境が改善した。経営合理化・効率化の成果も相まって、石油元売り各社の収益性は向上し、株主にも還元されたが、原油価格が上昇傾向で推移した17年後半か…

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週刊エコノミスト

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