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投資・運用 日本株 沸騰前夜

なぜバフェット氏は日本株を買い増すのか 尾藤峰男

92歳のバフェット氏(左)、99歳のマンガー氏とも健在。5時間にわたり熱弁を振るった 場内の大型スクリーンを筆者撮影
92歳のバフェット氏(左)、99歳のマンガー氏とも健在。5時間にわたり熱弁を振るった 場内の大型スクリーンを筆者撮影

「投資の神様」の商社株買いは、海外勢の日本株投資を触発した。株主総会で「さらなる投資」を表明、市場の期待は高まる。

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 4月上旬のウォーレン・バフェット氏の突然の来日、その後のインタビューや報道記事での発言をきっかけに、日本株への関心が高まっている。来日の目的は、軒並み7.4%の保有比率まで株式を買い増した5大商社(伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅)の経営陣との会談であった。この会談は、バフェット氏から申し入れたもので、投資先に、投資した意図や今後の保有姿勢を説明し、商社の事業戦略や経営方針を聞き、お互いの信頼関係を築くためであった。バフェット氏自身、この面談は大変有意義であったと、満足げに答えている。

 バフェット氏が来日して、商社株を買い増し、日本株へのさらなる投資意向を表明(4月11日)してから5月26日までで、日経平均株価は実に10.72%も上昇、その間の米S&P500種株価指数の上昇幅2.35%を大幅に上回った。日経平均株価は5月19日に33年ぶりの高値を更新、19日まで実に海外勢は8週連続の買い越しで、8週間の買い越し額は3兆6000億円に上った。海外勢が、バフェット氏の日本株へのさらなる投資意向の表明に触発されたことは明らかである。バフェット氏の世界の投資家への影響力の強さを改めて実感する。

商社と事業で協業も

 筆者は、今年も5月6日に米国ネブラスカ州オマハで開催されたバークシャー・ハサウェイの株主総会に参加してきた。2回のオンライン総会を含め10回目の参加だった。ようやく通常モードに戻った総会には、以前の規模の4万人の株主が集まった。92歳のバフェット氏、60年来の盟友で99歳のチャーリー・マンガー氏が今年も5時間超、50以上の質問に答えた。出席者は、バフェット氏とマンガー氏の話に耳を澄ます。この2人の経済、投資への洞察、さらには生き方などから得られるものが大変多いからだ。今年は、バフェット氏が日本株への積極姿勢を表明したためか、日本人も多く詰めかけていたようだ。

 この総会の席上、バフェット氏は、マンガー氏に日本株投資について話すよう促され、話した内容は以下のとおりである。

「日ごろたくさんの会社を調べているがその中で日本の商社が目に留まった。14%の益利回り(筆者注:株価収益率〈PER〉の逆数、PER換算で約7倍)、配当もよく、自社株買いもやっている。5社のさまざまな事業内容は、よく理解できた。そこで、2019年から買い始め、20年の私の誕生日(8月30日)に、5社の5%超の株式保有を公表した。5社には、各社の承認なしに、9.9%を超えて株を保有しない旨を伝えた。現在5社とも7.4%保有している。

 19年当時の資金の借り入れコストは0.5%程度。益利回りは14%。このスプレッド(利ザヤ)は大きい。これからも年4億~5億ドルのスプレッドは取れるだろう。円債を発行し為替をヘッジした。いまでは円債で最大の外国企業の発行体となった。我々は、この5社との関係を、10、20、30、40年と続けていきたい。我々は長期の視点で臨んでいる。今回の訪日は、5社との信頼関係を築き、相互理解を深めるためのものであり、バークシャーと協業できるビジネスやプロジェクトがあれば、ぜひ連絡してきてほしい、大きければ大きいほどよいと伝えた。我々は、(5大商社という)大変素晴らしいパートナーを得た。我々はさらなる投資機会を探し続ける。我々はまだやり終わっていない」

 若干の解説を加えよう。バフェット氏の5大商社株の5%超…

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