経済・企業

新幹線から消滅「TOKIOのあの曲」車内チャイムが誘う旅情 土屋武之

東海道新幹線「N700S」=愛知県大府市で2020年7月1日、兵藤公治撮影
東海道新幹線「N700S」=愛知県大府市で2020年7月1日、兵藤公治撮影

 新幹線などの長距離列車で聞こえてくる「車内チャイム」に愛着を持つ人は意外に多いのではないか。発車直後や次の停車駅が近づいた際、車内アナウンスの冒頭で流れるのは昔から定番だ。耳に残りやすく、旅行や里帰りのときなどに聞くと、妙に心に染み入ったりする。

 この車内チャイム。JR東海が新幹線内で使っていた曲を7月21日から変更する。現在、流れているのはジャニーズ事務所出身の人気グループ、TOKIOの「AMBITIOUS JAPAN!」の一節だ。2003年、東海道新幹線の品川駅開業を機に採用されたものなので、約20年にわたり親しまれたメロディーが変わることになる。

 車内チャイムはオリジナル曲を使うケースもあれば、人気アーティストの作品とタイアップすることもある。同じ03年には東海道新幹線に乗り入れるJR西日本も、鬼束ちひろさんの「いい日旅立ち・西へ」を採用した。この曲は7月以降も使われる予定なので、今後もN700Sなど同じ系列の車両であっても、流れるメロディーでどちらの会社の所有車かわかる。

 今回は新幹線などの車内チャイムの歴史を見ていきたい。

変遷の背景

 1964年、東海道新幹線が開業した際の車内チャイムは、当時の在来線特急の電車と同じ「鉄道唱歌」だった。しかし、新幹線は独自のチャイムにしたいとの方針から、国鉄は有名作曲家の黛敏郎さんに依頼。68年から新たな曲の使用を開始した。だがこの曲は「暗い」などと評判が今一つで、それもあってか短期間で使われなくなっている。

 代わりに採用したのが「ド・ミ・ソ・ド」の4点チャイムだ。至ってシンプルなメロディーで、87年のJR発足後も使われ続けた。ところ…

残り1250文字(全文1950文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

5月14日・21日合併号

ストップ!人口半減16 「自立持続可能」は全国65自治体 個性伸ばす「開成町」「忍野村」■荒木涼子/村田晋一郎19 地方の活路 カギは「多極集住」と高品質観光業 「よそ者・若者・ばか者」を生かせ■冨山和彦20 「人口減」のウソを斬る 地方消失の真因は若年女性の流出■天野馨南子25 労働力不足 203 [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事