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投資・運用 逆風の銀行

徹底分析・銀行株《地銀》千葉興銀は株価2倍超に PBR改善へ株主還元活発 鮫島豊喜

 TOPIX銀行インデックスは2023年3月末までの1年間で、23.8%と大幅に上昇した(配当込みのトータルリターン)。上場している地方銀行75社のうち、株価上昇率は高い順に千葉興業銀行106.1%、富山第一銀行93.8%、東京きらぼしフィナンシャルグループ(FG)57.0%、西日本フィナンシャルホールディングス(FHD)51.1%だった(表1)。

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 SBI証券は地銀株を押し上げた主な要因は、①株主還元の強化、②アクティビスト(物言う株主)やエンゲージメント(対話)型の投資家による株式の取得、③収益力の向上──とみている。それぞれの要因が単独で株価を押し上げたというより、複数の要因が作用した。もちろん、すべての地銀株が上がったのではなく、地銀13社の23年3月末の株価は前年同月末から下落した。

 地銀は特定の株主から要求を受けて株主還元を強化する傾向がある、と考える人は多いだろう。実際には、多くのアナリストやファンドマネジャーは長年、株主還元の強化やさらなるリスクテークを求めて地銀と対話してきた。

 例えば、京都銀行は21年12月、総還元性向を50%程度に引き上げると発表したが、これは英アクティビスト・ファンドのシルチェスター・インターナショナル・インベスターズが同行に株主提案する前のことだった。つまり、同行は以前からの株主の要求に応えたのだ。とはいえ、シルチェスターを無視しているのではなく、他の株主と同様に扱っている。今年度から始まった同行の中期経営計画では、還元の強化と積極的な収益拡大の姿勢がうかがえる。

収益伸びるきらぼし

 特定の投資家による提案が大きな変化をもたらした例もある。投資ファンドのありあけキャピタルは22年4月、北国FHDと企業価値向上に向けた助言契約を締結し、株主資本利益率(ROE)や収益力の向上につながる策を提案し、株価上昇につながった。

 千葉興業銀行はありあけキャピタルが昨年11月、5.19%の株式を保有したとする大量保有報告書を提出したことをきっかけに株価が上昇している。また、富山第一銀行は同月に提出した四半期報告書で、元お笑い芸人で投資家の井村俊哉氏が2.22%の株式を保有していることが判明後、株価が大きく上昇した。

 上の③については、東京きらぼしFGが好例だ。22年3月期の連結純利益は前期比約4.3倍の182億円となり、23年3月期も同16.3%増の212億円と大きく変化した。

 東京証券取引所は今年3月、資本コストや株価を意識した経営を実現するよう、上場企業に要請した。ブルームバーグのデータによれば5月29日現…

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