投資・運用 高齢化時代の相続税対策
亡夫の相続で「長女だけ取り分なし」87歳妻の心残り
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東京都の住宅地に住む女性Hさん(87)は、すでに夫を亡くし、子は長男と長女の2人がいる。夫の相続の際、その財産はHさんと長男が引き継ぎ、長女の取り分がなかったことがずっと気がかりだった。そこで「自分の財産はすべて長女に相続する」という遺言書を作成した。
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亡夫の主な財産は、2階建ての自宅の土地・建物と金融資産で、生前の夫の意向に従い、Hさんと子2人で遺産分割協議を行った。
自宅の土地はHさんと長男とで半々に、建物はHさんが全て相続した。金融資産については、長男が相続税の納税資金だけを受け取り、残りはHさんが相続した。
現在、自宅の2階にはHさんが、1階には長男家族が住んでいる。
長女への相続はゼロだったが、夫も決して「長男びいき」だったわけではない。むしろ、財産は兄妹平等に相続させるという考えが強かった。
そもそも自宅は1、2階で完全分離した「2世帯住宅」として建てていた。2階の住戸には、1階を通らず、外階段を上がって入る完全分離構造だ。
というのも、夫は、将来的には1階を長男、2階を長女に相続させることを想定し、それぞれが自分で住んだり賃貸に出したり、好きに使…
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週刊エコノミスト
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