インタビュー「産業用・自動車・家電でAI半導体の需要拡大」吉岡真一・ルネサスエレクトロニクス執行役員兼CTO
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AI関連製品の拡大で業績好調のルネサスエレクトロニクス。吉岡真一・執行役員兼CTO(最高技術責任者)に現状と展望を聞いた。(聞き手=浜田健太郎・編集部)
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── ルネサスは経営目的で「人々の暮らしをラクにする」と掲げている。
■当社の半導体は、人々が快適に安全に生活するための社会インフラのシステムに使われていることが多くなっている。「組み込みシステム」と呼ばれる特定の機能を実現する半導体を通じて暮らしの中の難しさとか、面倒くささを解消しようとの狙いがある。その中には自動化や知能化といったAIの技術、要素が含まれる。
── ロジック(論理回路)半導体でAIの機能を取り入れたのはいつごろからか。
■製品の中に何らかの形でAI機能を取り込むという試みは約10年前から。例えば、工場における予測制御だ。深層学習を通じて、データを蓄積して、その結果、次はどうなるかを予測して、予測と違う結果が出てきたら補正をかけるようなことを繰り返してきた。
── 深層学習では「学習」と「推論」をAIチップが担う。学習はGPU(画像処理プロセッサー)のような画像認識や並列処理が得意で、推論は学習を元に「問題」を解くイメージだ。ルネサスが作る半導体は推論の部分を担うのか。
■学習の部分は非常に大きな計算機のリソースを使うし時間もかかる。今の生成AIがまさにそうだ。当社が得意とするマイコンなど組み込み型のシステムは、当初は推論がメインだったが、最近では事前にある程度学習させて、実際にシステムに組み込んだ後に、刺激を受けながら追加で学習する要素を取り入れている。ネットワークの終端やデバイス側でも学習や補正を担う機能が入っている。
── どういう製品にAI機能を持つ半導体が搭載されているのか。
■産業機器向け、インフラ向けの汎用(はんよう)的に使われるマイコン製品には幅広く搭載されている。よく使われるのがさまざまな工作機械用だ。システムの中央で全体を制御するのではなくて、各種機器で制御する…
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週刊エコノミスト
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