インタビュー「時価総額上位企業にも長期投資」藤野英人レオス・キャピタルワークス会長兼社長
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昨年は米利上げが続く中、レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」が得意とする成長株投資が失速し、苦しい運用が続いた。今後、どのように運用体制を立て直すのか、同社トップの藤野英人氏に聞いた。(聞き手=稲留正英/村田晋一郎・編集部)
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── 昨年の運用成績不調の原因をどう分析しているのか。
■運用を開始した2008年以降、日本の大型株には投資せず、小型株に投資する戦略がひふみ投信の強みだった。時価総額上位100社の社長は、それが上がりポストのサラリーマン経営者であり、成長や株価を上げることへのインセンティブがほぼない。経営者そのものが「スリーピング&ボアリング(眠たくて退屈)」だ。ひふみが長期で勝てた理由は、他の運用会社がそうした大型株の調査に全精力を注いでいたのに対し、時価総額が上位101〜3600社のところをしっかりと見ていたからだ。
ところが、この2年半は、大型のバリュー(割安)株の上昇が続いた。それが、短期的にTOPIX(東証株価指数)に負ける原因になった。その要因は過剰流動性があったことと、日本経済が欧米、中国に比べて相対的に良く、世界の待避資金が日本株に流れ、割安な大型株を中心に買われたためだ。
── どのように運用体制を再構築していくのか。
■この10年間と違う運用をしないといけないという問題意識を持っている。今はインデックスファンドが全盛で、新NISAはインデックスへの傾斜をもっと進めることになるだろう。
もうひとつ、チャットGPTのような生成AIの登場で、直近のデータを読み込んで、コンセンサスに対して決算が上振れるか下振れるかという予想は、AIがかなり正確に行う時代がくる。だから、短期の予想に軸足を置いたアナリストは付加価値が激減していく。
さらに重要なのは、「眠たくて退屈」だった日本の経営者が目覚めてきたことだ。代替…
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週刊エコノミスト
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