インタビュー「自分の価値観を問い直す契機に」伊井哲朗コモンズ投信社長
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新NISAで投資を始める人は、単に資産を増やすだけでなく、投資したお金がどこに回るのかを考えることが重要になる。(聞き手=村田晋一郎・編集部)
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── 新NISAの影響をどう見ているか。
■投資信託を通じて間接的に個人投資家のウエートが上がってくると企業経営が変わる可能性がある。NISA制度を使って個人が良い投資信託、良い企業を選ぶ際に、個人投資家がどういう企業を応援したくなるかということが、企業経営に影響を及ぼす。今回の新NISAは企業が個人投資家と向き合い、どのような株主構成がよいかを考える機会になっている。
── 株主構成を企業側が誘導できるのか。
■上場企業は株主を選べないが、企業側からメッセージを出して、望む株主構成に誘導することはできる。例えばカゴメは個人株主が多いが、BtoC企業であるがゆえにカゴメの商品を買う人に株主になってもらいたいと思っている。そのため、統合報告書も一般消費者に分かりやすい内容になっており、個人株主を増やしている。
── インデックスファンドに注目が集まっているが、今後のアクティブファンドはどうなるか。
■今はどのインデックスファンドのコストが安いとか、ツールの話に終始していて、大切なお金を何に使うのかという視点が欠けている。お金は社会を作る投票権であり、そのお金を投じて作る社会はどうあるべきかを考えることが重要だ。ただお金を増やせばよいのではなく、社会を良くする会社を応援しようとか、そういった投資信託を買って応援しようと考えることが大事だと思う。
自分のお金がどこに回っているのかを考えると、今一番人気のあるオールカントリー(全世界株)の投信には権威主義国家の企業が入っていたりする。またS&P500にもクラスター爆弾を作っている企業が複数社入っている。自分のお金が紛争当事国の企業や軍需企業に回ることにな…
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週刊エコノミスト
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