新規会員は2カ月無料!「年末とくとくキャンペーン」実施中です!

投資・運用 投信道場~新NISAで始める

インタビュー「新NISAは業界要望を超えた規模に」中野晴啓・セゾン投信前会長

「積立王子」のニックネームで、日本における長期投資文化の定着に尽力してきた中野晴啓氏(セゾン投信前会長)は、新NISAの制度設計でも大きな役割を果たした。その中野氏に、新NISAの意義やその活用方法について聞いた。(聞き手=稲留正英/村田晋一郎・編集部)

>>特集「投信道場~新NISAで始める」はこちら

── 新NISAの評価について。

■重要なポイントがいくつかある。まずは、そのスケールだ。現行のつみたてNISAは月3万3000円、年間で40万円。これが3倍の年間120万円になった。これだけでも非常に規模が大きくなったが、合わせて一般NISAが「成長投資枠」に名前が変わって、年間240万円まで使えるようになった。非課税運用の期間が無期限になったのも大きい。

── 想定外の枠拡大か。

■新NISAの制度設計をするに当たり、投資信託協会副会長を務めていた私自身も、業界側の代表として、政府と対話していた。結果としては、我々が要望した内容を、大きく超えたものとなった。

── まさに、岸田文雄政権の目玉政策の一つだ。

■政府にとり、世代を問わず、国民生活者全体にこの制度の利用と実践を通じ、成果を上げてもらうことが重要な政策目的になった。つまり、重要な国家戦略の一つとして位置付けられた。この戦略は奥が深く、これからの日本がそれなりに豊かな社会構造を維持していくかというところまで、この制度は重要な位置づけを担っている。長期投資は一義的には、個々人の将来の豊かな人生づくりのためではあるが、これを国民文化として生活者の行動様式に定着させることができれば、この先の日本経済の復興、成長軌道の回復につながってくる。

── 具体的には?

■今回、金融所得があまねく所得増という形で国民生活者に享受・還元されることによって、デフレマインドが一気にリセットされるということだ。その代わり、今度はお金を使おうと。いわゆる、米国でいう「資産効果」だ。

── 米国では株価が上がると、個人消費が非常に活発になる。

■これが政府の期待しているところだ。この資産効果が、日本の消費社会、消費経済に直結してくる。今回、非課税運用期間が無期限になったことで、あらゆる人が自身のおかれた環境と経済状況、人生プランに応じて、計画的に1800万円の枠組みを使える。だから、そういったところまで意識して、個人の皆さんには、それぞれができる範囲でいいから、長期投資に取り組んでほしい。

50代に「キャッチアップ機能」

── 日本では、中高年を中心に「預金派」が多い。

■新NISAでもう一つ重要なのはキャッチアップ機能だ。新しい制度では成長投資枠とつみたて投資枠合わせ、年間360万円、月間30万円投資できる。50代以降は少なからぬ人が銀行口座に3000万円の預金を持っている。毎年360万円積み立てていくと、5年で1800万円の長期投資を完了できる。50…

残り1245文字(全文2445文字)

週刊エコノミスト

週刊エコノミストオンラインは、月額制の有料会員向けサービスです。
有料会員になると、続きをお読みいただけます。

・会員限定の有料記事が読み放題
・1989年からの誌面掲載記事検索
・デジタル紙面で直近2カ月分のバックナンバーが読める

通常価格 月額2,040円(税込)が、今なら2ヶ月0円

週刊エコノミスト最新号のご案内

週刊エコノミスト最新号

12月3日号

経済学の現在地16 米国分断解消のカギとなる共感 主流派経済学の課題に重なる■安藤大介18 インタビュー 野中 郁次郎 一橋大学名誉教授 「全身全霊で相手に共感し可能となる暗黙知の共有」20 共同体メカニズム 危機の時代にこそ増す必要性 信頼・利他・互恵・徳で活性化 ■大垣 昌夫23 Q&A [目次を見る]

デジタル紙面ビューアーで読む

おすすめ情報

編集部からのおすすめ

最新の注目記事