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資源・エネルギー 原発

福島第1原発1号機の圧力容器に崩落の恐れ 上沢千尋

東京電力福島第一原発。左から1号機、2号機、3号機、4号機
東京電力福島第一原発。左から1号機、2号機、3号機、4号機

 原子炉圧力容器を支える台座のコンクリートが失われており、圧力容器が落下したりすれば燃料デブリの取り出し作業も困難になる。

落ちれば燃料デブリ取り出しが困難に

 水素爆発を起こした福島第1原子力発電所の1号機で、原子炉圧力容器を支える「ペデスタル」(台座)が激しく損傷している。大きな地震に見舞われれば原子炉圧力容器が落下し、溶け落ちて固まっている燃料デブリの取り出し作業に支障をきたしかねない。政府と東京電力は8月24日、燃料デブリに触れその一部を含んだ水の海洋放出を始めたが、廃炉作業が進んでいない今、海洋放出にも影響が及ぶ。

 東電と国際廃炉研究開発機構(IRID)は昨年2~5月、1号機の原子炉格納容器の底の部分を、水中ロボットを使って調査した。底の部分には燃料デブリを冷却して溶融を止めるため、水が注入されている。鉄筋コンクリート製のペデスタルの外周調査が行われ、通常運転時に原子炉圧力容器の下部の点検のために設けてあるペデスタルの開口部周辺でコンクリートが消失し、鉄筋がむき出しになっていることが分かった。

 ペデスタルは円筒状の構造物で、外周の直径は約7.4メートル、高さは格納容器の基部(床)から約7.4メートル、厚さは約1.2メートルある。このペデスタルが核燃料の入っている合金製の圧力容器を下部から支える役割を果たしており、事故前の定期検査時には比較的高い放射線量の環境ながら、このペデスタルに設けられた幅約0.8メートル、高さ約1.9メートルの開口部から作業員が出入りして、圧力容器の点検や補修作業などに使用していた。

 事故では溶融した核燃料が圧力容器の底を突き破り、ペデスタルの内側に堆積(たいせき)したほか、一部は開口部などを通ってペデスタルの外側にも漏れ出ている可能性が高い。水中ロボット調査では、ペデスタル開口部の両側付近のコンクリートが、格納容器の基部から高さ約1メートルまで完全に消失しており、その範囲は開口部を中心にペデスタル全周の4分の1程度とみられる。

 また、今年3月28~31日には、水中ロボットを使ってペデスタル内部の調査も行われた。東電の説明によれば、ペデスタル内側のコンクリートは格納容器の基部から1~1.3メートルの高さまで全周にわたって崩落していた。ペデスタル内部に埋め込まれた「インナースカート」と呼ばれる厚さ34ミリの鋼板が透けて見える部分もあり、コンクリートが崩落したペデスタルの厚さは約60センチに達しているとみられる。

高温でコンクリ侵食か

 コンクリート崩壊がどのように起こったのか、東電からの明確な説明はまだない。ただ、コンクリートやセメントは、「火災時などのように短期間高温下におかれるときには急激な熱膨張による剥落や爆裂などが起こる」(嵩英雄・大野定俊著「高温下のコンクリートの物性」『コンクリート工学』1984年22巻3号)。二酸化ウランを…

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