《今週のポイント》日銀短観9月調査(10月2日)上野剛志
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価格転嫁の勢いは続くか
10月2日に公表される日銀短観9月調査では、企業景況感が前回比で限定的な動きにとどまりそうだ。前回6月調査では、製造業・非製造業ともに景況感が改善していた。今回、製造業では中国経済の減速や半導体市場の低迷が重しとなる一方、自動車の供給制約緩和が追い風になると考えられる。また、非製造業では物価高が抑制要因となるものの、経済活動の正常化に伴う対面サービスやインバウンド需要の回復が支えになるだろう。収益は改善傾向にあるため、設備投資計画は堅調を維持しそうだ。
そうした中、特に注目されるのが販売価格の動向(上昇-下落)を示す販売価格判断DIだ。同DI(全規模)は前回まで2調査連続で低下したが、そのペースは緩やかで、水準も高止まりしていた。既往の仕入れ価格上昇の転嫁が遅れていた影響が大きい。仕入れに直結する輸入物価は8月にかけて前年割れが続いているものの、足元では再び円安・原油高が進んでいる。企業による価格転嫁の勢いが先行きにかけてどの程度維持されるのか…
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週刊エコノミスト
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